赤痢

カイロの紫のバラの赤痢のネタバレレビュー・内容・結末

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

うわー本当に、最後、まだ終わらないで頼むからマジでと思った。くやしい。本当に最高の映画だけど、くやしいので、ちょっと、ううーって感じ。

映画の世界とリアルとの微妙で決定的な違いをうまく表現していた。
役に対する役者の気持ちとか、普段考えたこともなかった。キャラクターに感情が芽生えてしまうとか、ちょっと近未来っぽい。ありそう。こんなん夢見るよな。現実にいなさそうな最高人間が現実にいるとか考えちゃうわな

セシリアが、現実は恋愛する余裕がない... て言ったら、僕の世界ではみんな張り切ってるけどな、ってトムが言ってたの、まさにそうだよなと言う感じ。人間が動物であることを、現実では我慢して押し込めて忘れようとしている。これは本当に苦しい。本能から湧くいろんな欲望を、汚いものや我慢すべきものとしたり、現実は本当にややこしいし気持ち悪いと思う。そういう無駄な感情があるから、みんな疲れてしまう

愛に生きようというのは現実問題 難しいかもしれないけど、お金とか時間とかっていうのは人間が勝手に決めたもので、本来なら自分の欲に従うべきだと思う。実際、私の普段の生活でも、金よりも楽しい時間が大事だと思うから、結局、そういうことだと思う。

トムが純粋でまっすぐでロマンチックで強い(冒険家っていうのもいい)ことによって、セシリアが少しでも変わる勇気を持てたのが本当に素晴らしいことだと思うし、恋愛というのはこうあるべき。トムのマジの愛が、尊くて苦しすぎる。トム最高。ずっと一緒にいたい何しても楽しいから。
トムがセシリアに愛を伝えまくるのを観て、ひとりの人に愛を捧げることは危険すぎるしめちゃくちゃ勇気いるよなと思った。
そもそも相手から好かれなかったり、うまく行っても別れが来ることを心配したり、そういう邪念や心配を全て投げ打って、この瞬間お前が好きだという感情を、相手に伝えなかったとしても、自分の中で誤魔化さないのはなかなかできることではないと思います。

セシリアが真面目すぎて我慢しすぎて自分の本当の魅力を自分で理解できていないのがもったいなさすぎる。こういう人は優しすぎるから困った人を助けたり(バカな旦那にも同情してなかなか捨てられないとか)、自分だけ贅沢するわけにはとか考えて、真面目に献身的に努力して、精神を病むんだろうなと思う。我慢は本当によくない。真面目で繊細な人は、傲慢で愚鈍な人よりも、結果的に弱くなってしまうこの現実の仕組み自体がよくない

セシリアの繊細さや文化を愛する心をバカにするような男、山みたいにいるし、そういう夫婦も全世界にいるんだろうなと思うと胸糞。本当に悔しい

あと売春宿のシーンが大好き!服装も女の子たちの性格や考え方も好きで、あとトムの愛が最高すぎて見ていられない。高尚過ぎる。

トムが映画に帰るシーンは泣いた。そりゃ泣くだろと言う感じだが。セシリアもトムのことを本気で好きだけど、根の真面目さが働いて(わかるなあ)結局現実に生きなければとなるの切なすぎる。えー?こんなに切ないことない...

あと、カバン一つで家から抜け出すくらいの身軽さがないとやってけないなと思った

欲と現実のバランスが大事
赤痢

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