やや

カイロの紫のバラのややのネタバレレビュー・内容・結末

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「好みの俳優が出ている映画は5回は観よう」と決意した人も多いであろう作品。(私だけか?)

あらすじを読んだ時点で設定が好みだったけれど、「セシリアが1人の時にトムがスクリーンから出てきて秘密の恋に落ちるみたいな感じ?」と思っていたら………まさかの、フツーに観客がたくさんいる中で堂々と出てきちゃったー!?
しかも観客と劇中劇のキャラが全員会話できて、ニュースにもなるし他のトムも外に出たがってるとかいうし、実在する俳優まで出てきて同一人物との三角関係に!?
なんて、賑やかな展開は全く予想していなくて、良い意味で裏切られた。
待ちくたびれているスクリーンの中のキャラたちの表情、会話、それをまた興味深く観にきている観客など、本当に楽しい。

劇中劇がモノクロなのも世界の違いがわかりやすく雰囲気も出て良いし、トムが全て映画のようにいくと思いこんでトラブルを起こすのも可愛らしい。

同じ顔だからミーハーと言って良いのか、トムとギルの間で揺れ動くセシリアに、ラストはどうなる?なるほど現実を選んだかぁ、と思っていたらハリウッド俳優との恋も夢だったというオチ。
「よかった、このまま気持ちよく幸せになってくれ!」と願いながら観ていたから「えぇ…これで終わっちゃうの…」と呆然としたものの、後から考えれば考えるほどこのエンディングで良かった気がしてくる。

一時でも辛い現実を忘れさせてくれる映画は夢そのもの。
セシリアはこれからも変わらぬ辛い人生を映画を観る時だけは救われて生きていくのだろうね。

サクッと観れる長さなのもポイント高い。わかりやすく楽しい、また観たい好みの作品でした。
やや

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