ねぎおSTOPWAR

トンマッコルへようこそのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

トンマッコルへようこそ(2005年製作の映画)
4.6
もはや私の中では『伝説の映画トンマッコル』!
観ないうちになんか妄想だけ膨らんでいくというね。



こんな映画だったのか!とんでもなくチャレンジ精神にあふれる作品じゃないですか!
そりゃアメリカも怒るの無理ないわ。
・・ただ製作者にそんな意図があったとは到底思えない。

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時は朝鮮戦争。
ロシアのバックアップを受けて金日成が政権樹立。そこにアメリカが介入。
第二次大戦後の冷戦構造の象徴のひとつですけど、戦ったのは北朝鮮とアメリカ合衆国。「ブラザーフッド」などに描かれた熾烈な地上戦・・同じ言葉を話す同じ民族(ただ北と南では歴史的に元々敵対国だったし若干異なる意識を持つのかも・・)が殺しあうのはいったい何のためなのか???
ソウルの東、江原道(カンウォンド)にある海から少し陸に入った太白市の設定だそうです。戦争が起きていたことも知らない穏やかな人々が暮らす村、トンマッコル(子供のように純粋な村の意味)。
そこに、飛行機が墜落してけがをしたアメリカ兵が運び込まれます。また、人を殺すことに疑問を覚えた連合軍の脱走兵(つまり現韓国側)と医療兵も転がり込む。さらには敗走中の北朝鮮軍兵士の生き残り3人もやってきてこの混乱の先に・・・。

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もう設定だけで面白い!
なんつうファンタジー。
2005年に製作されたこともまた素晴らしいと思います。
だって《戦争》の当事者である製作者たちが冷静に丹念に紡がないと、こうした作品にはならないのではないでしょうか。反対に位置するのがドストレートな作品。いわゆる戦争映画を否定する目的は全くなく、何て言うんだろう ・・トンマッコルくらいかみ砕いて消化した映画というか熟成させた映画というかが「シュリ」「JSA」から数年で作り出されていたことに驚嘆しています。
「シュリ」だって「JSA」だって練られていますが、わたしはこれをドイツでの第二次大戦の「ジョジョラビット」みたいな感じで受け止めているんですがいかがですか?

役者さんたちも適材適所!
北の兵士にしては優しくて上司の命令も絶対ではない上官にチョン・ジェヨンさん。ちょっと調べると、彼はすぐに売れたわけでもなく、義母に勧められ改名をしてから知名度が上がったそうですね。笑
面白いストーリーかどうかで判断するそうで、演技に関しては独特な考えを持っている様子。だからなのか、結果自分の持つキャラクターに役を引き寄せている印象。金太郎飴的な良さ??
対するはバリバリの演技派、ペ・ドゥナの元カレ!シン・ハギュンさん。笑
言うことないくらいの演技でした。

監督はこれが長編デビューとなるパク・クァンヒョンさん。
この映画の後が2017年「操作された都市」なんですよね。ずっとテレビとかやってたのでしょうか。「操作された・・」もとっても面白い映画。まだまだ作ってほしいですね!

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