一人旅

神々と男たちの一人旅のレビュー・感想・評価

神々と男たち(2010年製作の映画)
4.0
第63回カンヌ国際映画祭グランプリ。
グザヴィエ・ボーヴォワ監督作。

1996年にアルジェリアで起きたフランス人修道士殺害事件を題材とした作品で、カンヌ映画祭をはじめ国際的に高い評価を得たフランス映画です。

本作は、内戦の最中にあった1996年のアルジェリアで、トラピスト会のフランス人修道士7名が武装イスラム集団に拉致・監禁・殺害された「ティビリヌの修道士殺害事件」を題材に、事件が起きるまでの経緯を克明に描写した実録ドラマで、内戦の激化に伴い、安全な母国フランスに帰国するか、あるいは修道士としての使命を全うするため現地に留まるか―という二者択一の選択を迫られたフランス人修道士たちの葛藤と決断とその後の悲劇に迫っていきます。

イスラム国家である内戦下のアルジェリアにおいて、カトリックの修道士として長年現地に滞在してきたフランス人修道士たちの揺るぎなき神への信仰と現地の人々に対する深い理解と慈愛に満ちた素朴で崇高な生き様を淡々としたリズムの中に描写した“中東現代史+信仰心理ドラマ”の力作であり、フランスの名カメラマン:カロリーヌ・シャンプティエが修道院内部の整然と寒々しさを完璧に引き出しています。
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