みんと

愛と喝采の日々のみんとのレビュー・感想・評価

愛と喝采の日々(1977年製作の映画)
3.7
本格的バレエ映画の名作を鑑賞。
純粋にバレエファンには堪らないだろうバレエシーンを余すことなく堪能できる。圧巻の演技に引き込まれるし完全に魅入ってしまう。

同じバレエの世界に身を投じた2人。ひとりはバレリーナとして成功を納め、もうひとりは将来を有望視されつつも結婚しバレエの世界を引退する。対照的な2人の女性の生き方はお互いの成しえなかった姿として写りふつふつとした嫉妬心へと繋がる。

女性同士の複雑な心情がやけに生々しくも、同じ女性として考えさせられる。華やかな成功と引き換えに手に入れられなかったもの、平凡さと引き換えに諦めた夢、そのどちらも共感し易く同時に負の部分の感情が芽生えるのも理解出来なくもなくて。
そして幸か不幸か娘に引き継がれたバレエの道は、その才能の行く末を思うと更に複雑でもある。

表に出ない苦しみや厳しさとかドロドロの人間関係とか、プロの世界に少なからず存在するであろうと思うと、単純に素晴らしい演技なりショーなりを受け身で観させてもらってる身とすればコレまた複雑。

強烈に頭に残ったシャーリー・マクレーンとアン・バンクラフトの迫力の取っ組み合いと言葉の応酬は圧巻だった。もはや手加減なしの本気を思わせるリアリティすら。そしてずっと抱えてきたお互いの想いを吐き出せた後の もう笑うしかない境地はある意味清々しく、同士だからこその深い絆すら感じる感動シーンでもあった。

到底経験し得ない世界であり、ある意味未知の世界ではあれどやっぱりラストでのバレエシーンには次元を超えた芸術的価値の様なものまで感じざるを得なかった。
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