ずどこんちょ

E.T.のずどこんちょのレビュー・感想・評価

E.T.(1982年製作の映画)
3.4
言わずと知れた名作ですが、映画が好きになってから真剣に全部見たのは実は初めてでした。
E.T.のビジュアル、イラスト化されたりキャラクターとして見るとそこまで感じてませんでしたけど、暗がりから出てくる映像で見ると結構トラウマになる皺くちゃビジュアルですね。
でも、あの大きな目が遠く彼方に去ってしまった仲間たちを追ってるようで切ない目をしていました。

スティーヴン・スピルバーグ監督自身の過去の思い、家族に対する思いが込められたというE.T.。
父親がどうやら別の女性と出ていったらしいエリオットの家庭。傷がまだ癒えていないアンバランスな家庭環境で、少年と宇宙人の出会いが感動を生み出します。
E.T.は友人でもあり、父親の化身でもあるのです。不在となった父親を求めるエリオットはE.T.と心を通わせ、想いを共有します。いや、むしろ彼はE.T.と完全にシンクロしてしまうのです。
E.T.がビールを飲んだら学校に通っているエリオットも酔っ払い、E.T.が瀕死の重症を負ったらエリオットも衰弱します。

父親の化身であるE.T.と一心同体となり、彼の思いを共有し、そして彼はE.T.が本来いるべき場所へと見送るのです。
これがスピルバーグの描きたかった過去への決別なのでしょう。

自転車で空を飛ぶ有名なシーン。
スピルバーグが設立したアンブリン・エンターテイメントのロゴにもなっている印象的なシーンですが、少年たちが全力で自転車を漕いで更に空を飛べるようになったら、もうどこへでも行けそうな気がしますよね。
子供の頃の夢を描いたような最高の組み合わせだと改めて感じました。