安堵霊タラコフスキー

E.T.の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

E.T.(1982年製作の映画)
3.7
出来としては決して悪いものでないけれど、ちょっと複雑な気分になる映画。

というのも、序盤の少年家族と会合するまでのETの見せ方とかキモ可愛いETの造形、あの有名な夢溢れるシーンとか良いところは沢山あるけど、それまでも兆候があったとはいえこの作品のヒットこそが感動娯楽映画隆盛のきっかけとなったのは明白だし、自分の嫌いな安いドラマ映画を多数生み出す礎と考えるとこの作品は自分としてはあまり好ましいものでない。

そしてこの作品を彩るテーマ曲も感動音楽として人々に知られるところとなり、確かに印象に残りやすいフレーズ作りは流石だと思うけれど、こういう音楽による感動の押し付けも基本的に自分が嫌うものであり(モリコーネやニーノ・ロータのように侘しさが感じられるものは別だが)、そういうのがここから流行るのもこの作品が原因かと思うと一層憎らしく思う。

スピルバーグとジョン・ウィリアムズ、この二人は確かに天才であろうが、天才であるが故にその功罪はあまりに大きいと今になってつくづく思い知らされる作品だ。