梅田

大阪物語の梅田のレビュー・感想・評価

大阪物語(1957年製作の映画)
2.9
井原西鶴を溝口が再構成した脚本で、本当なら自ら監督するはずだった映画。度の過ぎた吝嗇家である両替屋の主人にまつわる人情噺で、いわゆる溝口らしいリアリズムな作風ではないものの、主人の妻の酷い最期や艶かしい遊女の演出(中村玉緒の若い頃はマジで可愛い)にどことなく影響を感じる。音声はクリアなのに台詞を聞き取るのがかなり大変だったのは上方口調でみんな超早口だからなか。
とはいえ全体として人物造形がイマイチな印象。林成年演じる吉太郎も最後に美味しいところを持っていっただけに感じるし、主演扱いの市川雷蔵はほとんどなんの印象も残さない。溝口はなぜこれを撮りたかったんだろうか、あるいはどう撮りたかったんだろうか。
梅田

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