すずす

サンライズのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

サンライズ(1927年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ウィリアム・フォックスが、『吸血鬼ノスフェラトゥ』で知られるドイツの名匠フリードリヒ・ウィルヘルム・ムルナウをアメリカに招いて製作した人間ドラマ。第一回アカデミー賞の芸術部門の作品賞受賞作は伊達じゃありません。

周囲に仲睦まじい夫婦として知られた若い農夫一家。幼子と祖母と暮らしていましたが、夫が不倫。不倫相手の女性に妻の殺害を持ち掛けられます。久し振りの小旅行と称して、近くの池に小舟を漕ぎだす二人。沖に出ると夫は妻に襲い掛かります。しかし、その時、鐘の音が聴こえ、夫は逡巡。沖に着くと妻は逃げ去り、電車に駆け込みます。夫も同乗し、二人は都会に着きます。車の行き交う町、夫が妻を守ります。
町の一画、教会で結婚式が行われていて、二人も参列。夫は思わず涙します。汚れた気持ちが現れ、二人は町を遊び歩きます。写真スタジオでキス写真を撮ったり、遊園地で豚と戯れたり、妻はワインを飲んで少し酔ってしまいます。
小舟で戻る、帰り道、暴風に襲われます。夫は妻を殺そうとした時に、自分が逃げるために用意した蘆の束を妻に巻きますが、船は難破してしまいます。夫は岸辺に流れ着きま、村民総出で、深夜の捜索が始まります。しかし、夫は流されている蘆の束を発見、悲嘆にくれ家に帰ります。
家に不倫相手が訪ねてきて、夫は彼女の首を絞めます。すると、妻が発見されたという叫び声が遠くから響いてきます――

映画史上初の劇判付きの映画。つまり、音声トラックで音楽が付属した初めての映画としても映画史に残っています。

ドイツ表現主義らしい陰影の効いた撮影、インターテロップも沈む場面では文字が沈んだり凝りに凝っています。
しかし、そんな小技よりも、町一つ作ってしまった巨大セット。交差点、巨大な遊園地、池には暴風が遅い、迫力満点で、ハリウッド大作ならではのディザスター映画の趣も観られます。

妻を演じるジャネット・ゲイナーは本作などでアカデミー主演女優賞を受賞し、後に『スタァ誕生』の第一作の主演を演じていて、本作は最高にチャーミングです。
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