一人旅

サンライズの一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

サンライズ(1927年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

第1回アカデミー賞芸術作品賞。
F・W・ムルナウ監督作。

【ストーリー】
妻(ジャネット・ゲイナー)と子どもと共に田舎暮らしをしている男(ジョージ・オブライエン)は、都会から休暇でやってきた女に誘惑される。妻を溺死させて一緒に都会へ行こうと女に唆された男は、妻をボートから突き落とそうと覚悟を決めるが・・・。

白黒サイレントの作品だけどとても感動した。
妻と男が都会に行き着いて、新婚の頃の愛に満ちた日々を振り返るように無邪気に楽しむ場面の数々。遊園地でゲームしたり、一緒に踊ったり、お酒を飲んだり、他人の結婚式や新婚夫婦の写真を眺めたり・・・。忘れかけていたかつての愛を取り戻していく過程がとても微笑ましく、且つ希望的だった。男は少々キレやすく我を忘れやすい性格のようで、そんな夫を優しくなだめる妻の姿がとても健気で可愛らしいのも印象的だ。

そして最後、スゴいな!って感じたのが都会からの帰り途中のボート上でのワンシーン。
突然の暴風雨が夫婦の乗るボートを襲い、転覆させられてしまう。その時、妻を守るために夫が咄嗟にフトイ草(水に浮く草)を妻に括りつけるのだ。最悪自分は助からなくてもいいから、妻だけは助けたいという男の願いと行動が印象的だった。なぜなら映画の序盤、このフトイ草の果たす役割というのが、妻をボートから突き落としボートをわざと転覆させた後(事故に見せかけるため)、男自身が助かるために用意されたアイテムだったからだ。結果、妻を殺し自分が助かるための道具が、自分の死を覚悟に妻を助けるための道具に役割が変化した。

そして忘れてはならないのは男の妻役に扮したジャネット・ゲイナーの可愛らしさ。美しいというより、本当に可愛い!・・・そんな感じ。どことなく雰囲気が安達祐実に似てる。

P.S. 某古書店で中古DVDが\4000弱で売られていて、かなりのプレミアム価格でした。白黒映画なのでVHSをレンタルした方がコスパが良いです。(自分もそうしました)
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