マサミチ

点と線のマサミチのレビュー・感想・評価

点と線(1958年製作の映画)
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原作は繰り返し繰り返し何度も読んだので映画版は細部の違いがかなり気になってあまり気に入らない出来。

やはり序盤は最大の目玉である"東京駅の4分間の偶然"から始めるべきでしょう。

また尺が90分くらいとかなりの駆け足感で描き方に余裕が無いとゆうか、例えば鳥飼刑事が香椎海岸で発見された情死遺体を心中では無いのではないか?と最初に疑う列車内の食堂車のお一人様のレシートについても、原作では鳥飼刑事は自宅で年頃の娘に確かめるのだ。

国鉄香椎駅と西鉄香椎駅の近辺で目撃された男女について実は別々の2人組では無いのか?と推理する展開についても、鳥飼刑事と三原警部補が2つの駅を往復する描写が必要なはず。もちろんこれは原作にあります。

三原警部補のキャラも演じる南広が当時は新人俳優なだけあってほとんど棒立ち棒読みで、原作の真面目な優男とは真逆過ぎる。

公開時はヒットして作品としても評価されたそうだが、松本清張特有の日本列島を縦断する展開に挟み込まれる旅情を描く余裕が欲しかった。あの【砂の器】にはそれがあった。

監督の小林恒夫氏は自分もそれほど観てる訳では無いのだが、黒澤明監督の助監督をしていた経験の持ち主で、黒澤本人も「1番目立たない助監督だったが学ぶところは学んで後に警視庁シリーズに生かされた」とゆう発言を残している。
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