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ドラえもん のび太とふしぎ風使いの328のレビュー・感想・評価

1.7
この時期のドラ映画には少し距離を置いていました。この時期、とは「南海大冒険」から「ワンニャン時空伝」まで。藤子・F・不二雄先生原作が終わり声優陣がリニューアルされるまで、自分の中では第2シーズンと位置付けている7作です。

どれも一度は見たことあるような、でもあまり記憶にないような、といった心持ちでAmazon Prime Videoにてコツコツと観賞を進めています。
先に見た「宇宙漂流記」「南海大冒険」は思いの外悪くなかったな、といった感想でした。

で、今作。原作では名作と言われている「台風のフー子」が基となっています。個人的にも記憶に残る一作です。
が、この映画は一言で言うとイマイチ。

その理由は色々とありますが、一番は物語を通しひみつ道具の存在感が薄いことでしょうか。
好きなドラ映画には物語内にひとつふたつ、メインとなるひみつ道具が登場します。
役割は2種類に分類され、ひとつは舞台となる世界を構築するひみつ道具。これは「鉄人兵団」の『入りこみミラー』、「魔界大冒険」の『もしもボックス』などがあります。最近では「月面探査記」の『異説クラブメンバーズバッジ』が原作漫画シリーズからうまくチョイスされていました(流石、ファンを公言する辻村深月脚本)。
もう一方は非現実的世界(秘境、過去、宇宙の彼方など)と「今、この場所」をつなぐ道具。「海底鬼岩城」の『テキオー灯』、「宇宙開拓史」の『ジャイロカプセル』、第一作目「のび太の恐竜」は『タイムマシン』と『タイムふろしき』ですね。

といった感じですが、今作はひみつ道具がどれも賑やかし的な役割としてしか使われていません。
これにより、極端ですがドラえもん映画である必然性が弱い様に思えます。

加えてゲストキャラの薄さも残念です。
そもそもフー子は原作だとひみつ道具の卵からのび太が孵化させ育てた台風の子どもでした。フー子の存在自体が映画では改変されています。この点こそが全体的に感じる物足りなさの根源に思えます。
好みですが、デザインは原作のままが良かった気もしますね。

後は敵キャラの薄さ。未来人の過去改変ものは少々マンネリ気味。スネ夫がアクセントかもしれませんが、フー子に拒まれ敵に操られるスネ夫は不憫でもありました。

ラスト、フー子にではなくのび太の様子に涙するメンバーたちもなんだかな、です。

テーマ 1.4
画 2.3
ストーリー 1.4
キャラクター 1.8
音楽 2.6
豊かさ 0.9
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