たく

イタリア式離婚狂想曲のたくのレビュー・感想・評価

イタリア式離婚狂想曲(1961年製作の映画)
3.5
イタリアの高名な男爵が若くて美貌の従妹と結ばれるため何とか妻とうまく別れようと計画するコメディで、フェルディナンドの回想形式で進んでいく。マルチェロ・マストロヤンニは「ああ結婚」でも婚姻に苦しむ惨めな男を演じてて、ほんと上手いね。本作は「ああ結婚」とは違って偶然の助けもありつつ男の思惑通りに事が運んでいくのが対照的だった。
ラストでやっぱりねっていうオチはついてるけど。

前半、しつこく愛情を確認してくる妻を見ているうちにフェルディナンドが彼女を殺害する妄想が何度も出てきて、この奥さんが彼より顔がデカくていかにも南国の無教養な感じが絶妙なキャスティング。
途中でマストロヤンニ自身が主演してるフェリーニ「甘い生活」が出てくるのが面白い。アニタ・エクバーグが踊ってるシーンが出てきて、思わず彼女に見とれちゃうカップルの男が女に「乳のデカい哺乳類だね」って誤魔化すのが笑えた。
フェルディナンドの計画とは違ったけど結局は都合のいい展開になって、なんでこのまま離婚せず殺害までしなきゃならないのか引っかかったんだけど、要は貴族だから社会的な名誉が重要なんだってことだね。

監督のピエトロ・ジェルミは「鉄道員」の監督・主演で有名。幼いころ実家で親の寝室にあった目覚まし時計のオルゴール曲が「鉄道員」のテーマ曲だったのをずいぶん後で知り、親に伝えたら全然覚えてなくて肩透かしくらった記憶がある。
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