三樹夫

機動戦士ガンダム II 哀・戦士編の三樹夫のレビュー・感想・評価

4.2
アムロ家出から、対ランバ・ラル、黒い三連星、マゼラトップ、ミハル、ジャブロー、そして宇宙へまでがこの映画となる。結構ギュウギュウに詰め込まれているため、各ドラマのダイジェスト感がどうしても出ている。かなりニュータイプにフォーカスが当たり始める3部作の第2作目。

アムロにとって2人目の母親の代替となる年上の女性がハモンだ。食堂でランバ・ラルとも出会い、初めて自身が戦うMSのパイロットの人となりを知ることになる。今までは幸か不幸かMSにどんな人が乗っているのか知らずに倒してきたが、人となりをしることで相手を倒す、つまり殺すことがアムロに重くのしかかる。またランバ・ラルとの決着は白兵戦となるためより一層死の感覚が感じられることとなる。なんでこんなに子供が乗っているんだと、ランバ・ラル隊の兵士まともな大人すぎる。それに比べて連邦はホワイトベースのクルーに対してクズかお前らはみたいな、この映画中ずっとクソムーブかましていた。
ランバ・ラルのグフに勝てたのはガンダムの性能のおかげに過ぎないと、アムロはまだニュータイプへの覚醒途上となっている。しかし盾に身を隠し盾が切られたと同時にジャンプし奇襲する戦法などパイロット能力は着実に向上している。ジェットストリームアタックの元ネタが『子連れ狼 三途の川の乳母車』だったりで、ガンダムのMSのアクションは殺陣が基本となっている。対シャア専用ズゴックでも盾の後ろから貫通してビームライフルを撃ったりなど、殺陣として避けて、間合いを詰めて、切りかかるという一連の流れが丁寧に描かれている。
アムロのニュータイプの覚醒としてはマチルダの死亡も大きい。このガンダム3部作の中では喪失がニュータイプへの覚醒のテーマになっている。何かすごく大切なものを喪失して初めて新たな人類になれるということだ。その後ハモン、リュウが死ぬという喪失が重なりニュータイプへと大きく前進することになる。そしてアムロだけでなくセイラと、なんとなくそんな気がするとミライもニュータイプに目覚めつつある。

ミハル関連はすごいウェルメイドになっており、ウェルメイド過ぎてガンダムの中では異彩を放つ話なのだが、絵コンテを見た富野由悠季と安彦良和は目が潤んだと言われている。井上瑤もこの話が一番好きとのこと。おそらく戦争の影響で子供だけが残され、ミハルが小さい弟と妹を食わせないといけない。そのミハルさえもいなくなってしまい小さい弟と妹だけが残されると、戦争への嫌悪感が募る話になっている。またミハルへのジオンの扱いも酷くないかというので、戦争により使い捨てにされゴミクズみたいに死んでいく、戦争なんて全方位で本当に碌でもないなというごく当たり前の感想を持つ。
お前らホワイトベースのニュータイプ部隊は宇宙に出て囮になれと、連邦のクズかお前らはみたいな指令を受け、ホワイトベースは宇宙へ上がり次作へ続く。
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