頑張れ伊藤

箪笥<たんす>の頑張れ伊藤のレビュー・感想・評価

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
4.5
心霊系ホラー描写は少ないながらも濃密で、ある程度ホラー耐性がないと目を背けてしまうかもしれません。
キービジュアルと相まってホラーの印象が強く、序盤はいつ怨霊が出てくるんだと身構えて鑑賞しつつもだんだんと登場人物の言動、巧妙なカメラワークによるシーンひとつひとつの違和感が気になり出し、最終的にはホラー描写はあくまでも味付けの一つなんだなと肩の力が抜けます。

そのため心霊系ホラー目当ての方には物足りなく、伏線回収系スリラー目当ての方にはホラー描写が気になるといった具合に評価が分かれてしまうのが本当に勿体無いと思いました。
映画に限らず小説でも漫画でも、ジャンルというものは目安として軽く認識しておくのが変に力が入らず良いのかなと、内容に関係のない感想まで抱いてしまいました(ミッドサマーを観た時もそうでした笑)

散りばめられた伏線が回収されるごとにすっきりしつつもその真相にやるせなさ、後味の悪さが増します。
それでも、主人公に位置づけされる人物へ感情移入し哀しみを噛み締めつつもう一度鑑賞し、さらに絶望したくなる、そんな名作です。
頑張れ伊藤

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