コンディションが悪くインフルだったのでまた観てみたい作品。
名は知るものの恥ずかしながら山田洋次監督の作品に触れたことがなく、いまあるわっかりやすくて声が通って観光ガイドさんのようについていけば明るく楽しく観てられるエンタメ映画の雰囲気とは異なる作品でした。時代劇という角のある話し言葉や覇気も皆無ではないもののたそがれ清兵衛という主人公はさらさらと吐いては風に流されていく砂の様。
wikipediaを参照するならば、やはりリアルを追求された監督の苦心の作であるとのことです。
ラストの余吾善右衛門との剣技のシーンでは派手な殺陣を次々と繰り出す様な感じではなく、一方的な猛攻を受け必死に抵抗するそんな様子が描かれ、思わぬところでの決着ともなります。しかし、生々しさもありますし、実際はそうであったろうと頭によぎらせる納得性もあります。敵を演じる田中泯さんの剣を構える姿勢には一見の価値あり、息を呑む様な存在感がありました。最期は舞台だなと感じざるを得ない幕引き。顔と名が一致しませんでしたがやはり舞踏家さんだったのですね。
かつてかつて、剣豪という本当に侘びを感じるシンプルな斬り合い対戦ゲームがあったのですが、それを思い出しました。