とぅん

ゴースト・ドッグのとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

武士道精神が染み付いた異色の殺し屋ゴースト・ドッグ。
昔に助けてもらったマフィアのルーイに忠誠を誓い、彼を主として敬い仕えているが、マフィアの一員の男を消す仕事をしたことで、マフィアのボスに狙われてしまう。

おそらく、ジム・ジャームッシュでなければもっとスリルのある作りになったであろう設定だけど、持ち味のシュールで緊張感の無い緩い空気が全面に漂っていて面白かった。

何よりもフォレスト・ウィテカー演じるゴースト・ドッグさんがカッコ良すぎて、あのキャラクターが生まれた時点で勝ったようなもん。

普段は本を読んで静かに過ごして、仕事の依頼のやり取りも伝書鳩を使う。
親友は町でケータリングでアイス売ってる不法入国者のレイモンなんだけど、彼とは言葉が通じないのに不思議とコミュニケーションは取れてるっていう。
たまに人に本を貸しては、感想を聞かせてくれっていうのも素敵。

武士道に感化されても刀は屋上で振るだけで、殺しはサイレンサー付きの銃で、殺しの後に銃をしまう時に刀を納めるっぽいアクションするとことかお茶目。これは笑い所だな。

彼は「葉隠」を読んで武士道に目覚めていて、かなり定期的に彼の心を掴んだ葉隠の一節がナレーションで挟まるので、彼の世界を覗いてるような気分になれた。

最後はボスを失って、ボスの娘に仕え始めたルーイに撃たれたゴースト・ドッグだったけど、路上で倒れた彼の表情がどこか晴れやかなのも印象深い。
彼にとっては、満足できる終わり方だったのかなと感じた。

またジム・ジャームッシュ監督作で好きな作品に出会えた。
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