あかっか

大誘拐 RAINBOW KIDSのあかっかのレビュー・感想・評価

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)
4.0
2023_024

極上エンターテイメント!身代金100億円の大誘拐事件!

その裏に込められた『奪われたもの』のメッセージを読み解け


前科者の3人が思いついた誘拐。攫った老女は愉快犯で知能犯だった!
逆ストックホルム症候群?老婆に絆された若者たちの運命は如何に。

序盤のダメダメ感で離脱しそうな人もいるかと思うが、どうか我慢して観続けて欲しい。物語の中心である大富豪の老女が動き出すと全く別の映画かと思うくらいに面白くなりますので。

犯人グループどころか警察やマスコミまで手玉に取る老女に「行け行け!やれやれ~!」と完全応援モード。緒形拳さん扮する和歌山県警本部長との推理合戦はスリリングだし、隠れ家の主で元家政婦のくらを演じる樹木希林さんの役を楽しんでいる感じが最高!

勿論、主演の北林谷栄さんの魅力はこの映画の最大のポイントであることは間違いない。利発でありながら人情もある、意志の強い素敵なおばあちゃんを堂々と演じている。最高でした。

所々に込められる国への皮肉。100億円の例えにF-16戦闘機2台分、1,000万円の例えに演習で使う砲弾2発分とし「そんなものに・・・」という話や、国が戦争で奪った子供たちの命を嘆き、さらに資産である山まで奪うのかと哀しい目で山林を見つめる。ただのエンタメ、コメディで終わらず、そっとメッセージも添える憎い作品である。

権力に対する不満をスカッと爽快に笑い飛ばすような素敵な作品ですので、オススメさせていただきます。
あかっか

あかっか