大正ロマンというより大正ノワールな感じのこれとこれの前作と次作。昔観た時はワイルドじゃない松田優作に魅了されつつもかなり謎映画だった。魅了されつつも俺は慄いたと思う。奇怪なユーモアにビビったと思う。何というか汲み取り式便所みたいな戦慄のユーモア。そんな感じの大正。気付けば昭和末から掠め取られはじめ、平成で毟り取られ、令和で搾り取られ続けている何かが濃厚に漂っている感じの大正。汲み取り式でもいい大正に生まれたかった…と思わせる魅惑のあやかし映画。気付けば松田優作も原田芳雄も虚空に消え、他の魅惑のキャストの方々もみんなみんな70代以上。楠田枝里子も、佐藤B作までがすでに70代。現実時間もこの映画に負けず劣らずあやかし臭く、そこはかとないハメられた感。
