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家族の肖像のleylaのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
4.1
再鑑賞

孤独を愛し、静かに暮らす教授の家に、傍若無人ともいえる振る舞いの人たちが上階に住むことになる。人とのつながりはどんなにも厄介なことか!

彼らの行動は老人である教授にとってはかなり刺激的なのだが、彼らを少しずつ受け止め、偽物の家族が、次第に彼にとってなくてはならない家族となる。

そして、イタリアの社会情勢が根底にあるがゆえのヘルムート・バーガー扮するコンラッドの最期が印象的だ。

孤独を脱した教授が再び孤独になったことはさぞかし辛いことだったのだろう。ラストに階上で聞こえる足音が余韻を残す。

部屋の中だけで演じられる密室劇で登場人物も少ないのに、視野の狭さを感じさせないダイナミックな映像はさすがで、調度品や絵画も見事。

教授の部屋と2階の現代的な部屋のギャップも、時代にそぐわない教授の暮らしぶりを浮き彫りにしている。

シルヴァーナ・マンガーノのクールビューティさ、Tシャツ姿のヘルムート・バーガーの新鮮さ、教授の妻役クラウディア・カルディナーレの気品ある可愛らしさも印象的だった。

車椅子の体でセットのみで行った撮影だったそう。
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