ミシンそば

ゴッドファーザーPART IIのミシンそばのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
4.1
先週PART1を途中までしか観なかったから、今日のBSでの放送も最後まで観るつもりはなかったけど、若かりし頃のヴィトのパートが抜群に面白かったもんだから、それを追っていくうちに何やかんやと最後まで観てしまった(何度も途中まで観たが、最後まで観るのは今回が初めて。だってこれ、長いもん)。
それをさせるだけの凄味があるし、本作以上のマフィア映画はこの50年一本も作られていないようなレベルの作品だろう。

超有名作と言うのは、観る前から事前情報が溢れに溢れているからいけない(そのせいで、誰が死ぬか分かり切った状態で観る状況に陥っている)。
悲惨な生い立ちから始まるヴィトの渡米からの悪のサクセスストーリーと、現代のマイケルの一作目ではあれほど嫌悪していたマフィアとしての才能の発露の同時展開。
ヴィトのパートは“血塗られた過去の神話”、マイケルのパートは“穢れた悪の現代史”、とそれぞれ言うべきか。切り方(繋げ方)もそれほど露骨ではない。
どちらも「本当は観てはいけないもの」をこちらに見せてくる構図なもんで。
家族愛、友情、郷里愛やなんかのキレイごとで取り繕おうが、コルレオーネファミリーは何処まで行っても犯罪者に過ぎないんだなって残酷なほどにこちらをわからせに来る展開ばかりが続く。

ラストになってロス、フランキー、フレドらが、波が押し寄せる等にどんどん死んでいくのは、最早そうなると分かってる状態でも恐いし、それを越えた先にある回想の、家業を未だ嫌悪していた時期のマイケルの演技もパチーノはやっていて、その数分の過去回想だけでこの非情な男も個人としては普通の優しい男になり得たのかも、とこちらに想像し得る余白として機能していた。
パート1をちゃんと観てたら、うっかり満点を付けていたかもな。