岡田秀親

招かれざる客の岡田秀親のネタバレレビュー・内容・結末

招かれざる客(1967年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023/10/19

スタンリー・クレイマー監督『招かれざる客』

この日にBSプレミアムで放送したので後で録画したのを観ようと思ったが、画質を比べるために以前に録画したザ・シネマで放送したほうをたまたま観始めてそのまま最後まで観た。

1967年製作当時の、まだ黒人差別が根強かったアメリカで、黒人男性を結婚相手として連れてきた白人女性の家族と周囲の困惑を描いている。

何気ない会話にも、そこで語られる必然があるように感じたのは、すでに評価が定まった50年以上あとに観ているから起こる錯覚からだろうか。

白人女性家族と黒人男性家族が会うことになり、そこで語られる会話にも儀礼的なものはあるが、本心を探り合うことで、理解しようという心情をお互いに残しているように感じられ、困惑はしているけれど対立はしていないように思えるのが全体的に好感を持って観られた要因だろうか。

いちばん対立しているように見えたのが黒人男性の父親と黒人男性という黒人同士で、理解されないと諦めている者と理解されることを諦めない者との対立に見えて、当時の黒人差別の問題の深さを表しているようにも思えた。

スペンサー・トレイシー演じる白人女性の父親が最後に結婚する2人に語りかける内容は、理想的すぎるきらいはあるのだけれど、その理想を掲げて表現しようとすることが当時には必要だったのだろうと思わせる。

ちなみにBSプレミアム放送素材は松岡葉子翻訳で、ザ・シネマ放送素材は太田国夫翻訳だった。
画質は両方とも大差はなかった。