2023/10/19
日本映画専門チャンネルで放送された濱口竜介監督『偶然と想像』を観た。
「魔法(よりもっと不確か)」「扉は開けたままで」「もう一度」の短編3編のオムニバスというので、まとまった時間はあるけれど、途中で疲れたら1編ずつ小休止して観ようかなという理由で選んだ。
会話劇で、エリック・ロメールを思わせるとの評価を見たが、ロメールを1本も観ていない私には似ているかどうかは分からなかった。
会話によって引き起こされる展開は3編ともスリリングで、その結末を知ってしまえば、それはミステリー小説にも似た読後感で1度観れば充分かなと思いがちだが、映画だと、眼の前にいる人間が起こす躍動感によって、その結末に至るまでの展開をまた観たくなる中毒性があると思った。
この感想に至るのには、やはり、それを感じさせる演出がこの映画の中にあるわけで、それを確かめるためにもまた観たくなるという二重の中毒性があるのだろう。
会話劇のおもしろさは改めて感じたが、それは日本語で交わされてニュアンスも含めて楽しめるからで、外国映画を翻訳や吹替で観てもそうではないのだろうと思うと、エリック・ロメールを観ようという気は、やはり進まないのだった。