Jun潤

天使にラブ・ソングを2のJun潤のレビュー・感想・評価

天使にラブ・ソングを2(1993年製作の映画)
3.8
2022.04.28

先日視聴した名作の続編。

クラブ歌手として軌道に乗り始めたデロリスを、かつて匿ってくれたシスター達が訪ねてくる。
彼女たちはデロリスの母校・聖フランシス高校の悪ガキ達に手を焼いているため助けを求めに来ていた。
渋々承諾し再びシスター・メアリー・クラレンスとなったデロリスは、予想以上に悪態をつく子供たちに辟易とするが、高校が間もなく閉校となる可能性を知り立ち上がる。
同じ頃生徒たちも閉校の事実を知り、デロリスと一体となって聖歌隊を結成する。
高い音楽の才能を持ちながら、同じく悩みを抱えた生徒たちと共に、デロリスは母校の危機を解決することができるのかー。

いやはやこれはこれは…。
『ラブライブ』と『ごくせん』を合わせたような物語。
前作も異なる文化、背景を持った登場人物の交流という王道ストーリーでしたが、今作も今作で悩める若者を導く大人の様相、そして音楽が持つ無限の可能性というこれまた王道中の王道。

日本の作品で言うところの不良やヤンキー、現代的な問題を抱える生徒たちではなく、なんだかんだデロリスの言うことを聞く素直な子供たちだったことも好感が持てますね。

人間関係の衝突や捩れ、姑息な真似をする大人たちもおらず、登場人物みんなの根がいいこともまた、心温まるコメディドラマとして完成度が高いことの要因だと思います。

これが人間の本来の姿であるという性善説なのか、音楽が持つ希望をもたらす無限の可能性を秘めた力なのか、解釈は人それぞれだと思いますが、物語が人生に対する大事なメッセージも含んでいることから誰の心にも沁みる作品ですね。

そして前作今作と通しで見ると今シリーズ、キャラの細かい動きやキャラ同士の掛け合いの中で時々鋭く刺さるちょっと黒めなジョークがとてもいいんですよね。
全体的な物語もコメディの流れを汲んでいながら、この細かい仕掛けがコメディとしての完成度をグッと上げている感じ。

そして前作を彩った堅苦しい修道院の雰囲気からの解放のための音楽と差別化され、若者が持つそれぞれの個性を打ち出した自由な音楽が今作を彩る。
パワーアップしたノリノリな音楽であることもさることながら、鬱屈とした状況から飛び出した学生たちのパフォーマンス、そしてそれを支え導く大人たちの姿が、より一層心を打ちますね。
Jun潤

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