FREDDY

セデック・バレ 第二部 虹の橋のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

日本統治時代の台湾で起こった先住民セデック族による抗日蜂起事件『霧社事件』を題材にウェイ・ダーション監督が2部構成で製作した歴史大作の第2作である本作は、1895年、日本と清国が下関条約を締結したことで割譲され日本統治時代を迎えた35年後の台湾中部の山岳地帯を舞台に、"野蛮人"と軽視され、日本人化運動が推し進められたことで原住民族独自の文化や習慣がないがしろにされた上に、過酷な労働と服従を無理強いされ、不平不満を募らせる日々を耐え忍んでいた誇り高き狩猟民族・セデック族の頭目モーナ・ルダオら先住民が起こした武装蜂起『霧社事件』の様子と、主要人物らがそれぞれに辿った切ない運命を描いた作品となっているのだが、観ているのが苦痛に感じてしまうほど映し出されるものの衝撃には居たたまれない気持ちにさせられましたし、とにかく胸が痛くなる作品でしたね。山岳地帯の地の利を活かして日本軍と交戦するセデック族の巧妙な戦術や掟を重んじる彼らの熱い思いに面白さを感じたが、開始30分で見せられるセデック族の女性たちによる"とある決断"には言葉を失うばかりで、そのシーンが視聴後もしばらくは目に強く残っていた。そして同じようなシーンが度々映し出されるのでその都度胸が苦しくなり、前作以上にこの事件について深く考えさせられましたし、やはり今作も最後まで見応えがあって画面から終始目が離せなかった。史実を脚色した作品なのですべてを鵜呑みにすることはできないが当然ながら学べるものがあり、単純に"日本軍 対 セデック族"の構図ではなく、親日派セデック族も動員されていることや、この暴動によって選択を迫られたセデック族の女性や、日本人として育てられた霧社セデック族の警察官・花岡一郎と花岡二郎らの心情もしっかりと映し出されますし、悲惨な暴動シーンばかりだけではなくドラマ性もあって今作も非常に良く出来た作品でした。観る価値は大いにあるかと。
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