友ニ

太陽を盗んだ男の友ニのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
3.3
 R.ストーンズの来日コンサートを脅迫要求したことで、ストーンズファンとしては興味深々でした。

 演出なのか編集なのか、はたまた子供時代のドリフによる刷り込みのせいなのか、主人公城戸を演じた沢田研二のキャラクターが、ハードボイルドというよりはコメディ感があり、作品の趣旨から若干外れている感じが否めませんでした。
 どうしても、松田優作がやっていたらどんなだったろう?と想像してしまいます。
 
 しかし、そのお茶の間でお馴染みのジュリーが主役だからこそ、ちょっととっつきにくいハードボイルド作品が中和されて、良い感じで万人に親しみやすい作品になっているのもまた事実でしょう。
 ジュリーのオネエサマ言葉、やけに上手です。

 そして、こういう昭和の作品の見どころはもう、街の風景景色につきます。
 東急デパートでの大規模ロケやほとんど開発されていない湾岸地区でのカーチェイスなど、我々がもう忘れかけた記憶の扉を開け放ってくれます。
 初代マツダRX-7のカッコ良さがまた良い。クルマ好きにはたまりません。
 
 ストーンズのポスターや写真など、許可取りはあったのか気になりますが、世界最高のロックンロール バンドがまだこの時点で入国出来なかったことが、ある種神話化され、こうやって映画の話のネタとして取り上げられたりして、逆にカッコいい、もう永遠に来日しないでくれ!という雰囲気も確かにありました。
この時点から10年以上あとになって彼らの来日は実現するのですが、それからもすでに30年以上が経ち、過ぎ去った時間の長さや、あの頃の時代の空気を思い出し、昭和という時代はもうはるか遠い過去なのだなと思いを馳せると同時に、ため息が出ます。
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