バズ

メメントのバズのネタバレレビュー・内容・結末

メメント(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

いつか観ようとずーっと先延ばしし続けて、やっとこさ観た。

この作品も所謂時系列順+逆が入り混じった構成だったけど、その時系列追いながらどんどん理解を深めていく映画ってやっぱ観てて楽しい。
いや内容は楽しいとはかけ離れてはいるんだけども。
ラストを迎えて全てが理解できた時のスッキリ感はやはりたまらない。

内容に触れると、何というかレナードは本当に哀れだなと思ってしまった。
彼の周りには記憶障害を利用しようとするテディやナタリーみたいなヤバい人間しかいないし、「ジョン・G」への復讐は既に終えているという真実に辿り着いてもなお生きていく意味を失わないために、自ら真実が書いてある資料を破き、最後はテディを標的にしてしまったり。
さらに愛する妻を殺してしまったのは「ジョン・G」ではなく自分なのに、その罪の意識から逃れるためか自分が行ったことをサニー夫妻(実際サニーに妻はいない)が行ったことであると記憶を改竄してしまっていたり。

サニーの話をしてる時に「俺はサニーとは違う」って繰り返し言ってたのもその伏線で、自ら体にタトゥー刻む時の繊細な作業が出来てたのも全部伏線だったんだなあと最後で全て理解すると、スッキリすると同時になんだか悲しい気持ちにもなってしまった。

レニーは冒頭のシーン(ある意味ラストシーンとも言える)でテディを殺害したわけだけど、テディ殺害のこともやはり忘れてまた別のジョン・G探しを始めてしまうんだろうなあ…となんだかやるせない気持ちにもなった。
テディは悪人ではあるけど、レニーの過去について真実を知っているある意味唯一の理解者っぽいのに殺して良かったんか…ってのもちょっと思った。
逆に言えば自分が知りたくない真実を知ってるから、そんなやつは殺してしまえば今後罪の意識に苛まれることはなくなるみたいな考えだったのかもしれないが。
ただそれやっちゃうといよいよただの狂気じみた連続殺人鬼の誕生なのではないかという。

あとナタリーは登場時から何やら怪しさ満点だったけど、バーでのレニーを試すような行為だったり、レニーに自分を殴らせてドッド殺害に利用する為に奥さんを酷い言葉で罵倒したりとか、マジもんのクズすぎる。最終的にこじつけみたいなもんで殺すならテディよりまずこっちにしとけよとまで思った。

レニーを哀れとは思いつつも殺人の記憶を毎回消す選択してるのは間違いなくレニー本人、というのは忘れてはいけない部分な気がする。テディがレニーを利用していたのは事実だけど、ある意味でレニーもテディを利用していたんだろう。復讐という生きる意味を失わないためにも。

鑑賞後は何とも言えない複雑な感情になるけど、映画としては非常に面白いなあと感じました。頭空っぽにして見れる映画とはまた違った良さがある。
やはりクリストファーノーランは凄い。
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