初めて鑑賞しました。
ノーラン監督作品らしく徹底的に時系列を弄んだ作りの、「何が起こったのか」という筋書きすら、最後の最後までわかりづらいというトリッキーな一品でした。
面白いのは面白い、ただもう必死に作品に食らいつく振り落とされない努力が必要で、振り落とされなったかは微妙。いや、鑑賞後に解説サイトを観に行ったので振り落とされたほうですね、負けです。
記憶代わりの膨大なメモ、刺青、モノクロで展開される誰かとの電話、それぞれの意味が紐解かれていくにつれ、逆に別の謎が生まれていく。よくもこれだけ一つの「とある男の物語」を裁断して別に構成し直したものだと感心するばかりです。
記憶は改竄される、それはそう。
だからメモを取る、写真を撮る、刺青を彫る。
果たしてそうした「物質」は、真実を語るのか?
……テーマはきわめてシンプル、そして構造はとことん意地悪に難解。このクセの強さが、嫌いではないなあと思わされるばかりでした。