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天国と地獄のbluetokyoのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.1
ずっと昔、二回ぐらい見たことがあるけど、煙の色が赤くなるという落ちネタしか覚えていない。
あらためて見ると、本当に、映画の中の映画という感じだ。とくに、赤い煙のあとが素晴らしかったのだな。
もちろん、主人公の権藤はえらい、とか、犯人の竹内は、憎むべき犯罪者で、やっつける、などという単純な話ではない。
たとえば、権藤は、叩き上げの職人で、会社の重役ではあっても、貧しさを知らないわけではない。犯人の竹内は、病院に勤めていて、貧しくはあるが、最底辺というわけではないのだ。

冒頭は、権藤邸から。権藤邸に集結した重役たち。みなで社長を追い落とす相談。株を持ち寄れば可能なので権藤を味方に引き入れようとする。
だが、権藤は同意しない。重役たちは、怒りながら帰っていく。
実は、権藤、ひそかに株を集めていたのだ。株を集め、一気に会社の経営権を奪取する。
側近の河西もビビるほどだが、権藤は、会社の実権さえ握れば大丈夫と、ほくそ笑む。ちなみに自宅も抵当に入れている。

と、そこへ一本の電話。上機嫌の権藤、やおら、受話器を取ると、お前の息子は誘拐した、という声。ひえええ、と驚く権藤、ところが、息子は、ひょっこり、姿を現す。なんだ、いたずら電話かと、胸を撫で下ろす権藤。
ところが、安心したのも束の間、犯人は、間違えて、運転手の息子を誘拐したのだ。

権藤としては、現状、存在するカネは、あくまでも、借りているカネなので、そのカネを身代金に使ってしまうと、破産してしまうのである。

犯人に、お前は、子どもを見殺しにする度胸なんてないね、かならず、身代金は払う、などとおちょくられつつ、結局、払ってしまう。

身代金を奪われてしまうと、今度は、攻守が逆転する。電話の音声や内容、誘拐された子どもの証言から、犯人を割り出していく。

赤い煙というのは、焦った犯人が、証拠隠滅のため、身代金の入ったカバンを燃やすだろうという予測で、カバンに、燃やすと赤い煙の出る薬品を仕込んだのだ。

犯人は、証拠隠滅のために、共犯者のヤクチューの人間を殺害していたが、どうやら、死んでいるのか未確認だった。そこを警察に突かれるのだ。

ヤクをくれ、でないとばらすぞ、みたいなことを書いた紙きれを犯人の竹内に渡す。すると、竹内は、かならず、共犯者を殺しに来るわけだ。
殺害方法は同じ、致死量のヤクを注射する。

竹内は、サングラスをかけて、夜の横浜を歩き回る。このサングラス、黒いのではなく、反射するやつである。
竹内は、花屋に入って、カーネーションを買って、花を胸ポケットにさす。ヤクの売人のための目印である。
見間違いかもしれないけど、たまたま、権藤が歩いてきて、権藤にタバコの火を借りるのだ。
怪しい外国人が密集して踊り狂うクラブへ。竹内も踊りに加わる。がたいのいい外国人の女が近付いてきて、踊りながら、カネとヤクを交換するのだ。次に、竹内は黄金町へ。伊勢佐木町を奥へ奥へと入っていくと、たしか黄金町だったな。
そこには、ヤクチューがたくさんたむろしている。そのうちの一人の女を連れ出して、木造アパートの一室へ。暫くして出てくる。刑事たちが入ってみると、女は死んでいた。ヤクの致死量を確認したのだ。

竹内が、共犯者が死んでいた、一軒家に近付いていく。このシーンが素晴らしい。まるで、南国のリゾート地のコテージに入ろうとしてるバカンスを楽しむ観光客みたいなのだ。まさに、竹内にとってのはかない天国なのだ。
権藤にとっての天国は、会社の経営権を奪うこと。だが、権藤は天国を見ることはなかった。