教授

天国と地獄の教授のレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
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相変わらず十分に面白い。
シナリオやキャストや画面構成や。
とにかくサスペンス劇としても人間ドラマとしても楽しめる。

身代金を巡るシーンではそこにいる人間たちの立場や意見、考えの違いを持った複数の人間たちが一堂に会し、複数の感情をひとつの画面で表現していたり、苦悩する内容が非常に三船敏郎らしさに貫かれていたり、どんどん仕上がっていく仲代達矢など、演技陣が楽しい。

そこに今とほとんど変わらない山崎努も加わってくる。

身代金受け渡しまでの前半と犯人を追跡する後半でバッサリ変わる潔さも面白い。
追いつめる者、追い詰められる者の視点の逆転。この大胆な構成をやれるのは巨匠ゆえのテクニック。てらいがない。

しかし、一方で巨匠となり、時代も変わりつつある中の老いとか、愚痴とか、バランスを崩した表現なども散見される。
特に警察が犯人を泳がす事でとんでもない展開となる。
犯人を死刑にするために。
というのは流石に間違っている。

そして定番のラストで「ドーン!」もちゃんと後味が悪く、三船敏郎がどんな表情をしているのか?
という構成が見事。
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