一人旅

スローターハウス5の一人旅のレビュー・感想・評価

スローターハウス5(1972年製作の映画)
3.0
第25回カンヌ国際映画祭審査員賞。
ジョージ・ロイ・ヒル監督作。

【ストーリー】
ビリー・ピルグリムは自身の回想録を綴り始める。二次大戦時、ドイツ兵に捕らわれた記憶、ドレスデン爆撃の記憶、そして家族の記憶・・・。

70年代製作とは思えないほど、演出が今風(?)だ。
時系列がバラバラに進むのが特徴。ワンショットの内に、いつの間にか時代が移り変わっていたりする。

ピルグリムの綴る過去に時間の流れを感じることはできない。全ての過去がまるで同時に起こっているかのような錯覚を覚える。それはつまりピルグリムにとって時間の概念は存在しないものなのかもしれない。ナチスとの戦闘や味方による無差別爆撃といった一連の出来事は“変化”でしかなく、時間がそれらをもたらしたわけではない・・・ピルグリムはそう考えているのかもしれない(自分もそう思う)。だとしたら、ピルグリム自身の死期を予感できたことにも納得がいく。あくまで人生は変化の同時上書きなのだから、過去と未来も同一のものだと考えられるのではないだろうか。それが運命なのだと思う。
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