さすらいの用心棒

リトル・マーメイドのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(1989年製作の映画)
3.6
アンデルセン童話『人魚姫』を映画化したディズニー作品


『眠れる森の美女』以来30年ぶりのディズニープリンセスもの。本作のヒットを嚆矢に『美女と野獣』『アラジン』に連なるプリンセス×作曲家アラン・メンケンのディズニー第二黄金期が生まれる記念碑的な作品

10年ぶりに見返して内容も忘れていたけど、あれほど切なくて美しい童話をここまで明るい虚無に変えたか(笑)、と毎度ながらディズニーの暴力に身震いしてしまう。曲はどれもいいので、できればサントラだけつくってほしい。

さすがに10年も経つとトリトン王の立ち振る舞いについても思い至るようになった。国を治める力量を持ちながら自分の娘とどう接すればいいのかわからず、過度な規制を課すことでしか制御できない自分の不器用さと弱さを自覚して、娘を自分から解放する親心が泣ける。

それにしても、ディズニーのセルアニメとしては最後の本作が、アニメを離れて実写化に汲々としている現在のディズニーにその材料を提供するきっかけをつくったというのは何とも寓意に富んでいる。