息子夫婦と暮らす年配の女性がテキサスのバウンティフルという故郷を目指して旅に出るジェラルディン・ペイジにレベッカ・デモーネイ主演の草や風の良い香りが漂ってきそうなヒューマンロードムービー。
序盤に心臓を悪くしているのが分かるも、バスの中でも殆ど誰も居ない深夜の片田舎のバスターミナルでも讃美歌を堂々歌ってしまう主人公の快活さがユーモラス。息子達には黙って出てきた故に道中保安官達に帰ることを諭されるのですが、その際なんとしてもバウンティフルに行きたいと駄々をこねる様は一見迷惑ながら残り少ないであろう人生や居場所が無さそうな息子達の家をふまえると苦しみが伝わってきて思わず共感。
これといったドラマティックな展開は無く一部眠気を誘う箇所は有りましたが、バウンティフルがああだったことで過去への執着や未練が断ち切られ、前を向けられるようになったと考えれば「殆ど何も残っていない」という状況やそれに伴う淋しさや悲しさという感情もまんざら悪く無い、と思わせてくれます。
それにしても主人公はてっきり70代・80代位と思いきやジェラルディン・ペイジは当時60歳位のようで、今の60代とは雰囲気が全然違う事に驚きです。