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バウンティフルへの旅のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

バウンティフルへの旅(1985年製作の映画)
3.9
アメリカの劇作家ホートン・フートによる戯曲をジェラルディン・ペイジ主演で映画化したホーム・ドラマ。
ピーター・マスターソン監督の代表作。
撮影はフレッド・マーフィー。
音楽はJ・A・C・レッドフォード。
原題:The Trip to Bountiful (1985)

テキサス州ヒューストンで息子夫婦の家に同居しているキャシーは口やかましい嫁のジェシー・メイとソリが合わず、死ぬ前にぜひもう一度故郷の農村バウンティフルへ帰りたいと、こっそり家を抜け出す。
ところが、バウンティフルは廃村になり、鉄道の駅もバスの停留所もなくなっていた。
20キロ手前のハリソンの町までバスに乗りたどり着くが、只一人残っていた友だちも亡くなっり会えないと知る。
それでも行ってみたいと保安官に頼み込んで車で送ってもらい、ようやく朽ち果てた我が家に着く。

そこに息子夫婦がやってくる…。

「私は主人を愛していなかった。過ちを犯すと罰を受けると思う?苦労が多いのはそのせいかしら。嘘はつかなかったわ。"主人に愛してない"と。敬ってはいたけど。愛してはいなかった。私が愛したのはただ一人よ。
愛する人と結婚できたなんて幸運よ」

「苦しみは平気よ。耐えられるわ。でもこの15年間のいがみ合い。くだらないいがみ合い。自分が本当にジェシーが言うような醜い人間になるような気がするの!だから家に帰りたい」

「孤独な死だった。大きな家にたった一人。
それも幸せよ」

「思い出なんて何の役にもたたない」

「みな消えていくわ。20年、いいえ10年で。この家も、私も、お前も。でも、川は消えないわ。野原も、木も。そして海の香りも。力を与えてくれる香りよ。家にはない力よ。人にも。静かだわ。どこまでも静か。この平和を忘れてた。静けさを。
…土地を捨てても、与えられたものは永遠だわ」

~登場人物~
・キャリー・ワッツ(ジェラルディン・ペイジ):主人公。故郷を出て20年経過。重い心臓病を患っている。
・息子ルディ(ジョン・ハード):10歳で父親を亡くす。真面目な会社員だが、昇給しない。実は、子どもができないことを気にしていた。
・その妻、ジェシー・メイ(カーリン・グリン) :キャリーを嫌い邪険に扱う。キャシーの年金をあてにしている。捜索願いを出す。
・セルマ(レベッカ・デモーネイ):1年前に愛する夫と結婚。夫の兵役のためその間家族のもとに戻る途中、ヒューストンの駅でキャシーと出会い、バスに乗り合わせる。優しく、思いやりがあって、美しい。
・ハリソンの町の保安官(リチャード・ブラッドフォード):キャシーを発見。最初は保護するため、すぐに息子夫婦に引き渡そうとする。

時代は1940年代。農村の荒廃と第2次世界大戦が背景にありますね。
まず、冒頭、息子を追いかけ抱きしめる母親の美しい映像と讃美歌を使ったタイトル・ソングにまず魅せれます。
この作品の魅力はジェラルディン・ペイジの演技。嫁に邪険にされ、死ぬ前にぜひ故郷の生家が見たいと旅に出る老女を絶妙な味で演じている。
旅の途中で触れ合う人たちも暖かくペイジを見守りペイジをサポートする。
レベッカ・デモーネイは、若く透明感があり、美しい。
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