「ひとたび闇のなかに置かれ恐怖を抱くと人は無法状態になる、粗暴で原始的に・・・。
恐怖にさらされると人はどんなことでもする」
孤立無縁のスーパーマーケットで未知の生物の襲来に防戦一方の中、狂信的な宗教団の台頭に、デビットたち8人のグループは宗教団がいずれ生け贄を求め始めることを怖れ密かにスーパーマーケットからの脱出を計画します。
『「ミスト」はずっとモノクロで撮りたいと思っていた。スティーブン・キング本人も「霧」のあとがきで「この物語を執筆しながら頭に思い描いていたのは少年時代に見ていたモノクロのホラー映画だ」と書いているんだ。モノクロ版は1960年代風の味わいがある、僕のようなモノクロ好きの映画マニアにはモノクロバージョンを薦めるよ』(ダラボン監督)
もう何度もオリジナルのカラーバージョンを観ているのですが、監督や脚本で多くの有名作品に手腕を発揮する監督のお薦めコメントで「ミスト」のモノクロバージョンを観ることにしました。「ミスト」の監督・脚本は共にフランク・ダラボン。日本では初回限定販売されたコレクターエディションの2枚組DVDでしか鑑賞できないのですが、TVによってはカラー調整でモノクロ設定できるため、そんなに大袈裟に所有を自慢するものでもないのかもしれませんが、私にとってはやっぱり宝物、秘蔵コレクションのDVDです。
嵐で壊れた家の補修のために、妻を家に残し町のスーパーマーケットを訪れたデヴィッド父子は町を覆う異常な濃霧から身を守るため、多くの住人と共にスーパーマーケットに立て籠ります。
スーパーマーケットの外は数メートル先も見通せず、デビットは何か得たいの知れないものが牙をむいていることに気がつきます。そして最初の犠牲者が・・・。
この世は異次元の世界に囲まれていてそこに穴を開けて観察しようとする軍と科学者によるアロー・ヘッド計画は、向こうの世界を覗くどころか、異次元の生物をこの世に引き込んでしまい、向こうの世界の生き物がこの世を徘徊することになります。訳もわからずスーパーマーケットに避難した人々は分裂し、デビットたち8人はスーパーマーケットを離れ、車で霧の果てを目指すことにするのですが、計画通り車に乗り込めたのはデビット父子を含むわずか5人。
妻の生存を願いながら車を走らせたデビッドは変わり果てた妻の姿を自宅前で目の当たりにします。
出口を求めて5人を乗せ彷徨する車のガソリンは霧の果てにたどり着く前に尽き果て、デビッドの手には4発の弾丸が装填されたリボルバーが残されます。未知の生物にもがき苦しみ死んでいった人々を見てきた彼らはデビッドの持つリボルバーに・・・。
行き場を失ったデビッドたちの判断は正しかったのか?、さかのぼればスーパーマーケットを出たことは?いやもっとさかのぼればスーパーマーケットに立てこもったことは?
それは最後に明かされます。
クリーチャー (想像上の生き物)の完成度は高く、原作から変更されたバッドエンドは非常に良くできています。
多くの映画誌や人が「胸糞映画」と形容するのですが「ディセント」シリーズや「クライモリ」シリーズに比べたらそんなに大袈裟なものではないのですが「うぉー」と唸りたくなるエンディングであることは間違いありません。
集団になればなるぼど多くの難題が派生し、間違った判断をしてしまうことも・・・。
途中からBGMが無くなるエンドロールに時々流れるヘリのローターの音が妙に印象に残ります。
で、モノクロバージョンの感想ですが「監督の言うレイ・ハリーハウゼンの雰囲気はなかったけど、私のようなモノクロ好きにもモノクロバージョンは雰囲気があり、良かったです」