ささ

ドッグヴィルのささのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
4.0
ラースフォントリアーはやはり奇才だった。

長尺だからチャプター分けによって区切られているため、理解しやすい。自分の居場所が確認できるので、飽きない。

落下の王国より変な映画だ。

映画内では「街」がある。
が、観ている我々には壁も道も見えない。ただの最低限のセットがあるだけ。倉庫に。
お笑いコントのセットと変わらない。

おそらくこれは
私たちの心理の暗喩。
いや、それで間違いない。
ラースフォントリアーは人間の汚さや精神の外側に造られた「壁」を強く意識して生きている違いありません。
その「壁」を取り払ってしまえば、お前らの魂はこんなにもどうしようもなくひどい代物なんだと訴えている。

ダンサーインザダークで没落の美しさ(太宰治「斜陽」に通ずるか)と闇の中でこそ一番に輝く光を描いたラースフォントリアーが今回は私が一番好むテーマでやってくれた。またしても。

そして急に軽くなるが
ニコールキッドマンがやばいくらい綺麗かわいい。


ネタバレだが↓↓↓















父の傲慢さを嫌い逃げ出したニコールキッドマンだが、結果自分の父と同じ末路に。それはドッグヴィルの住人にされた仕打ちのせい。人間を許す信念を持っていた人のその信念さえも軽々突き崩す人間の汚さ。そしてその信念が一番嫌ったものに陥るまでに叩きのめす。人間の汚さ。人間の魂なんて、犬と同じ、それ以下か?


この映画が暗いとか重い、鬱展開とか言ってる人は普段からお花畑しか見えてないんだろうな。幸せそうで羨ましいかぎりです。よ。
ここだってドッグヴィルじゃねぇか。
ささ

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