とり

恐竜・怪鳥の伝説のとりのレビュー・感想・評価

恐竜・怪鳥の伝説(1977年製作の映画)
3.3
思ってたより悪くなかった。もっとひどいのを期待してたからある意味ガッカリ映画。
ドラマ部分がダルいのはこの手の映画のお約束だし、ウトウトしても問題ありません。なんなら早送りでも。私は絶対しませんけどね!

特撮部分はこれまでのノウハウがたっぷりある時代なので、かなり頑張ってます。
怪獣の大きさの見せ方もなかなかのものだし、ジュラシックパークの先駆け的なシーンも多々。窓の向こうに巨大生物らしき姿とかかなりいい線いってます。バックに巨大スクリーンを置いて演技するのはハリーハウゼンぽい。怪獣ジャンルを外すとヒッチコックのスクリーンプロセスの使い方は参考書レベルですね。

変にもったいぶることもなく惨殺の様子を見せてくれます。素直で好感度高い。
ただね~音楽のセンスがどうかしてる。楳図かずおバリにギャーッてなってるシーンで能天気なノリノリ曲だったり、意味不明な歌詞が乗ってたり。
おかげで渾身の特撮シーンが台無し。怖すぎる人のための配慮かな?
おばあさんの歌は雰囲気あったし、ボートでの使い方も上手かったから、やっぱりわざと外してきたか?

主演の渡瀬恒彦がめっちゃ若い!可愛らしい少年の面影すら残ってますがな。
この人を含め全登場人物のメッセージ性が皆無なんですよね。何がしたいのかまったくわからん。作品のテーマも。
間(ま)の取り方も贅沢でゆったりのんびりしてて、なんともいい時代だな~。
あ、でも心配してくれてる彼女にいきなり往復ビンタをかまして黙らしちゃうのはわりと衝撃シーン。
セリフが舞台みたいにハキハキして聞き取りやすくて気持ちいいです。アフレコも多用してるのかな?今の邦画がいかに聞き取りづらいかよくわかる。マイク等の機材は圧倒的にいいのにね。

ラスト10分は言葉で表せないほどの気合い。怪獣の戦いやセットロケの特撮の見応え抜群。着ぐるみに逃げなかった勇気!
気候変動によって目覚めた彼らが再び滅びゆく物悲しさまで感じられます。
モンスターパニックもののクライマックスはこうでなくちゃ!
そこへきてモジモジくんたちの泣けるドラマ?コント?これがもう可笑しくて。演出がしつこい上に例の変な音楽。爆笑のうちに幕を閉じました。完全に観客置いてけぼりエンド。
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