とり

GONINのとりのレビュー・感想・評価

GONIN(1995年製作の映画)
4.5
あっこれいい映画って開始10分でわかる作品。
日本のアメリカン・ニューシネマというとおかしな表現になるけど、バブル崩壊後の膿んだ社会状況や閉塞感がまさにそんな感じ。
終わり方なんて典型的なニューシネマ。

クセの強い実力派俳優だらけで、それぞれが変に浮いたりしてなくてちゃんと個性が光ってるのもすばらしい。
こういうのってまさに監督の采配の妙じゃないかと感じる部分。

ライティングにセンスが光る映像。どこを取っても劇画的(モノクロ調)、極めて映画的で、一歩どころかかなり引いた突き放すようなカメラの目線が醸し出す非現実感。
ひりついた空気、湿度高めの画面が美しくて、見事に完成された世界観。そこに被さる劇伴の完璧なこと。

登場人物(アウトロー)たちの生き様、死に様の一瞬の輝きが見事に表現されているのも素晴らしいです。
暴力とエロティシズムによって色んな愛の形が描かれ、破滅に向かって静かに突き進む演出はまさしく滅びの美学。
傘を差すたけしのシルエットがいつまでも残る。
バイオレンス映画の本質がえぐられており大満足。
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