正直言ってドキュメンタリーとしてもエンタメとしてもあんまり抜きん出たところがない。皆が大人になって現実的な問題を処理できるように順化していく中で、若々しい理想をついに捨てられず、純であるがゆえに日本人の変心についていけず、市ヶ谷で道化のように空回りしたあのむなしさ。それを表現できているかというと微妙。
あと三島の配役、これが良くない。三島本人の写真や映像を見たことある人ならわかると思うが、あの特徴的な目こそを特に再現するべきだった。無邪気な情熱を帯びて輝いているのに、深遠で、黒く大きな虚無を抱えたあの目……。