一人旅

推理作家ポー 最期の5日間の一人旅のレビュー・感想・評価

推理作家ポー 最期の5日間(2012年製作の映画)
4.0
ジェームズ・マクティーグ監督作。

19世紀のアメリカを代表するミステリー作家:エドガー・アラン・ポー(1809-1849)の死の真相を独自の解釈で映像化した猟奇ミステリーで、ジョン・キューザックが恋人を救うべく奔走する主人公ポーを演じます。

実際にエドガー・アラン・ポーが亡くなった1849年のアメリカ・メリーランド州ボルチモアを舞台にした作品で、創作意欲が湧かず酒浸りの堕落した日々を送っている主人公の推理作家:エドガー・アラン・ポーが、自身の著作に書かれた通りに殺人を繰り返す猟奇的連続殺人鬼の正体を突き止めるべくフィールズ警視と協力のもと捜査に乗り出していく様子を描いたサスペンスミステリーで、殺人鬼に誘拐・監禁された婚約者のヒロインの死のタイムリミットが迫る中、類い稀な想像力と自身の著作からヒントを得て世間を震撼させる殺人鬼に迫っていく主人公の数奇な運命を描き出しています。

「モルグ街の殺人」や「赤死病の仮面」等のポーの代表小説に書かれたトリックを模倣した猟奇殺人を繰り返す謎の小説模倣犯との心理的駆け引き&直接対決の行方が、欧州の薫り漂う19世紀ボルチモアの陰鬱な空気感覚(『フロム・ヘル』(01)の雰囲気に近い)の中にサスペンスフルに映し出した、史実と創作をない交ぜにした猟奇ミステリーで、推理小説の描写を再現した殺人場面は凄惨を極めています。

主演のジョン・キューザックは実際のエドガー・アラン・ポーに寄せた髭面の風貌のもとシリアス一辺倒の演技を貫いていますが、元々可愛い系の顔立ちなので猟奇殺人ミステリーとの相性は微妙なところです。相棒となる警視を演じたルーク・エヴァンスの熱血漢的役柄は十分様になっています。
一人旅

一人旅