DanyangQifu

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 後編 永遠の物語のDanyangQifuのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

しばらく色々と立て込み、ようやく後編を視聴出来ました。とりあえず、後編を観て感じたことを。

冒頭はさやかが魔女化する所から、皆が魔法少女と魔女の関係、QBの真の目的を知ったところから始まります。
それにしても、QBはえげつないですね。
まどかの「みんなを騙したんでしょ!」という憤りに対し、QB「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は他者を憎悪する」。…あっ、こうきましたか。

そら、ついていけないし、納得出来ないって…。

しかも、さやかが魔女化して死んだことや、魔法少女に関する全てを知って、ショックを受けているまどかに「この宇宙の為に死んでくれる気になったら、いつでも声かけて!待ってるからね!」
…っておい!

他にも杏子を消すために、条理を覆すとか言って煽り、自らは手を汚さないなど、ここまで汚い奴は見たことがない…。この悪徳セールスマン…!
魔女化したさやかは、彼女の心象風景を表していて、本当に可哀想になってくる。何もかも諦めきれず、後悔しながら周りを赦せない姿には何も言えなくなります。
杏子が自爆する前に祈りを捧げているのは、理不尽な世界とさやかに対してなのかなと思ったりします。

劇場版は、ほむらの時計が演出になってるのが良いですね。それにしても、初めてTV放送の過去話を観た時は、あまりにも唐突すぎて、TV局が間違えて第一話を放送したのかと思いました(笑)。あの時の驚き程はありませんでしたが、劇場版はより分かりやすく描かれているので話を追いやすいです。
この時の話がTVで公開されて、実はTVオープニングの「コネクト」はまどかの歌ではなく、ほむら目線の「まどかへの歌」ということが分かったんですよね〜。あの時は流石に鳥肌が立ちました。劇場版のオープニング「ルミナス」は、内容が分かっていると、ほむらとまどか双方の歌ということが分かります。
何度も何度もやり直しをして、どう足掻いてもまどかが死ぬ世界というのは、『タイムマシン』や『STEINS;GATE』を彷彿とさせます。『STEINS;GATE』の言葉を借りるなら、「世界線を超えられていない」ということでしょうか。ほむらもダイバージェンスメーターを持っていれば大丈夫だった(暴論)。
ただ、ここまでしているからこそ、あそこまで冷たくするしかなかったんですよね。(あと、まどかのソウルジェムを撃ち抜くシーンは中学生には重すぎる…。)
それにしても、QB。お前、人間が宇宙へ進出してQBたち側の仲間になった時に、使えなくなった宇宙を渡されても困るだろうから、こんなシステムを運用してるとか言っておきながら、まどかが世界を破壊する魔女となり人類を滅ぼそうとしていると、「ノルマは達成したから、あとは人類自身で頑張ってね」って、結局人類を見捨てるのかよ!!!
まぁ、価値観は本人も言っていましたが、人類を感情エネルギーを抽出できる家畜程度にしか考えていないことがよく分かる言動です…。

ただ、過去を観ても思うのは、まどかは精神的に強い面が見て取れる所です。例えばマミさんが倒れても、「みんなを守るため」と割り切り勝ち目のない戦いへ赴いたり、魔法少女の真実を知り、錯乱したマミさんを躊躇なく撃ち抜いたり、魔女化すると分かりながら、ほむらに全てを託し、魔女化する前に撃ち抜くように頼んだりと覚悟を決めなければ出来ないことをやってのけます。
まどかは何度も何度も迷いますが、だからこそ、時間に迷子になっているほむらの意志を汲み取り、最終的に概念的存在になる決意が出来たのかもしれません。


『魔法少女まどか☆マギカ』という作品は虚淵玄が関わっているだけに、大変シリアスで救いようのない内容となっています。しかし、この「まどかという神が誕生するまでの話」は個人個人が希望となり得ることを表していると私は感じました。
恐らく自分自身のことを考えた願い、自分自身を含めた願いというのは、根底に欲があり、身を滅ぼしてしまうのかもしれません。しかし、辛く苦しいですが、自分を度外視した願いは周りの人の希望と成り得るのでしょう。
意外と人間は自分本位に考えてしまいがちです。しかし、それは思い通りにならなければ段々と心に溜め込んでいくことになります。現実的に考えれば、劇中、魔法少女が魔女となるのは、精神が不安定な中学生の精神に揺さぶりをかけることで、大きな不満が吐き出された結果(反抗)と捉えることが出来ます。大人はある程度抑えることや、考えることが出来ますが、やはり現代の精神疾患の状況を鑑みるに同じようなことが言えると思います。
今一度、自分は自分本位に物事を考えていないか、自問自答する良いきっかけとなった作品でした。
新編も視聴し直さなきゃ!(使命感)