OASIS

ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

現実で起きた事故のせいでスクリーンの向こう側にあるホラー映画の世界に入り込んでしまった少年少女達の話。

「スクリーム」「キャビン」等のホラー映画ネタをふんだんに盛り込んだメタホラーの系譜に連なる新たな一作。
ホラー映画の定石を抑えつつ、それを回避して行くという展開のベタやハズシのテクニックの面白さが光る。

主人公は、女優の母アマンダを交通事故で亡くした少女マックス。
かつて母が出演していた80年代のホラー映画「血まみれのキャンプ場」を友人達と鑑賞することになるが、上映中に火事が発生。
スクリーンの中に逃げ込むと、そこには映画と同じ世界が広がっていた。
スクリーンの中だけは死んだはずの母親と娘が再び親子で過ごす事が出来るという儚さが下手すると涙ぐんでしまうほど悲しくて、意外や意外感動を誘う。

映画の中で92分が経つとまた初めからストーリーが開始するという抜け出せない構造はループものとしても面白く、回転するカメラで何度もループする様子を見せたりする映像表現も良い。
回想シーンでは、白黒になった画面にキャラクターが「色が無くなっちゃった」と突っ込みを入れたり、表示されている立体的な年代のテロップを乗り越えたりと画面内を縦横無尽にいじりまくる。
この回想シーンに入る前の現象が後々のピンチな場面に役立つという所も上手いなぁと感心するところであった。

ただ、ネタが「映画の中に入っちゃった」という一点のみで考えられたような感じがして、例えば「スクリーム」ならば映画と同様の殺人を行っている犯人側の正体にも驚きがあったが、本作にはそういったサプライズ的要素が薄いと感じた。
自分が死ぬ筈が無いと高を括っているキャラがアッサリ死んだりという細かなハズシはあるが、死んだ母と子の再会というテーマを成立させる為にファンタジー的な世界観を作る必要があり、その弊害か現実的なオチをつけるのが難しくなっていたのだろうと思う。

全体的な雰囲気はもろにB級だが、主人公役のタイッサ・ファーミガの可愛さは超A級で、アダム・ディヴァインの死に様も難易度Sクラスの荒技でめちゃくちゃ笑えた。
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