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声をかくす人の4423のレビュー・感想・評価

声をかくす人(2011年製作の映画)
4.0
時は南北戦争末期。アメリカではじめて女性の死刑囚となったメアリー・サラットと、彼女を弁護する若き弁護士の姿を描く。

下宿屋を営んでいた彼女は、リンカーン大統領暗殺事件に関わっていたとされ逮捕されるが、政府の報復として民事裁判ではなく軍事裁判にかけられる。一方、北軍の大尉として勝利したエイキンは、南部出身のメアリーの弁護をしぶしぶ引き受けるのだが。

戦時であっても民間人は民事裁判で公平な判断のもと裁かれるべきだと訴え、矢面に立たされながらも、メアリーを救いだそうとするエイキンの姿に胸打たれた。エイキンにとっては、勝っても負けても顔に泥を塗られ、不名誉となる事件だというのに。

ロバート・レッドフォードの手によって重厚に織りなされ、静かにめくられるこの物語には、圧力によって隠された声がたしかに聞こえるようだ。

ちなみにオーレ・ボールネダルの『モルグ』のVHSジャケットに使用されている写真は、大統領暗殺事件に関わり、メアリーとともに絞首刑に処されたルイス・ペインの写真である。リリーの鉄をはめ、うつろな瞳でどこかを見ているこの写真は、写真家アレキサンダー・ガードナーによる有名なものである。
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