シミステツ

バッファロー’66のシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

バッファロー’66(1998年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

冒頭釈放されてすぐに刑務所のトイレ借りようとするの面白い。トイレで居合わせた男性を恫喝するヤバめの気性はそりゃ捕まるわというもの。母親との電話で妻がいるとついた嘘。母親の元へ連れて行かねばならなくなり、帳尻合わせに通りがかりのレイラを無理やり拉致して妻のふりをするように強要する狂人っぷり。

高級ホテルにいると言ったり普段は高級車に乗ってるなどの虚言癖と気性の荒さ。そして小便したら機嫌がおさまるというヤバさ。レイラにはウェンディと名乗らせる謎さ。

実家を訪れたシーンではシーンの切り替え(回想のようなもの)がワイプインしてくる形で面白い。ナイトクラブの歌手だった父親の歌、父子喧嘩、CIAで働いていたという絶妙な嘘が上手いレイラ、なれそめよりもアメフトの試合に夢中な母親、家族の癖の強さが浮き彫りになってシュールだし、実家だと影を潜めるビリーは帰路で挙句両親にゴマ擦りやがってと言う理不尽さ。

レイラが好意を持ってきたところで後半はスコットへの復讐にうつる。写真撮るシーンがかわいい。ビリーの若かりし頃の恋の話。女性を嫌う理由。ここまで一緒にいるふたりはすごいよ。ベッドで手を繋ぐシーンは切なくてあたたかかった。徐々にビリーの中の抵抗感が薄れていきレイラへの愛が芽生えていく様がこの映画の見どころ。

「あなたは世界一優しい人よ。ハンサムだわ」

スコットとストリップバーで対峙した時の音楽、Yesの『Heart of the Sunrise』がかっこいい。愛がビリーを変えたね。