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『海岸』に投稿された感想・評価

たく
3.9
事情を抱えたシングルマザーが高級リゾートホテルでヴァカンスを過ごしつつ、同地で人生を一新させようとする姿を描く、アルベルト・ラトゥアーダ監督の1954年作品。群像劇のように賑やかに進行する活気溢れる雰囲気から、主人公の秘密の暴露によって一気に世間の偏見の目が呼び覚まされる展開がジワジワ怖く、この世の非情が刻印される厳しさに思わず唸った。主演のマルティーヌ・キャロルのデボラ・カー的な端正な美貌に惹きつけられて、複雑な事情を抱えた役柄にぴったりだった。ラフ・ヴァローネは同監督の「アンナ」(1951年)に出てて、本作では高い志を持つ市長を好演してた。

冒頭で二人のシスターに連れられて駅のホームにやってくる少女の図が、有名な「宇宙人捕獲」の写真みたいでギョッとさせる。彼女と1年ぶりの再会となる母親のメントルシが娘と15日しか一緒に過ごせず、また寄宿学校へ帰さなければならないところに彼女の事情が仄めかされる。ヴァカンスに向かうこの母子をポントルノ市に誘ったシルヴィオが、実はポントルノ市長で、何かとメントルシを気に掛ける存在となる。どのホテルも満室で、ようやく高級ホテルの一室を確保したメントルシが、金持ちたちに囲まれながら身分不相応なバカンスを過ごす様子が群像劇的に描かれていく。このあたりはちょっとギョーム・ブラックの「みんなのヴァカンス」的な雰囲気が漂う。

この町で一番の富豪らしき老キアストリーノに何やら商売を持ちかけようとしている夫婦を始めとして、上流階級の人々が溢れる中、借金まみれでやさぐれている若い女性、瓶を売って小銭を稼いでいる少年が貧しい身分として対比される。やがてメントルシが元娼婦であったことが皆に知られ、仲良くしていた全員から手のひら返しされるところは見ちゃおれない。ここでシルヴィオが男気を示して偏見を取り払おうとするんだけど、世間はそんな甘くない。

それまで偏屈な老人として描かれてきたキアストリーノがいよいよ最後に腰を上げ、メントルシに腕を取らせつつこの世の非情な摂理を語るところは圧巻。結果的にメントルシは救われるものの、それは大富豪の権威を借りたかりそめの状況でしかないというところに何ともいえない悲哀が漂う。本作は高く評価したい作品で、調べると2008年にイタリア文化省が支援する「保存すべきイタリア映画100本」に選出されたとのこと。でもなぜかFilmarksの鑑賞数が異様に少なく、日本で劇場未公開という事情もあるのかなと思った(あるいはFilmarksに最近追加されたばかりとか?)。
kazun
3.7
寄宿学校に預けた娘と海辺でバカンスを過ごす娼婦。ホテルでかつての客と遭遇し…。

印象的なシーン
・修道女と娘 口紅拭き取る母
・母娘の旅 煙草吸う乗客
・トンネル抜けると海 開放感
・シルヴィオの勧め ポントルノ
・注目される美貌の母
・お札が風で飛ぶ 届ける人々
・市役所に呼び出し 過去の罪
・借金まみれの若い女
・仕事探し シルヴィオを頼る
・おしゃれして夜繰り出す人々
・白服の老人 カテリーナの砂の城
・ペンギンのフロート持ち泣く娘
・白服の老人 「私の腕を取れ」

娼婦という事を隠してバカンスを娘と過ごしていたのに、かつての客と遭遇した為滞在中のホテルの客に知れ渡り冷たい視線に晒され娘まで爪弾きにされたメントルシ。

娘と一緒にいたいためにもっと安い宿や仕事も探すも拒絶されて不安を抱えます。市長のシルヴィオが気にかけてくれますが力及ばず…。

白服の老人(億万長者)だけが腕を取れと彼女を救い出します。
彼と歩いているとあれだけ白い目で見ていた人々が金持の奥様扱いするのです。

何やねん。

ひとつも解決にはなっていない。ジジイの虎の威を借りてるだけ。
しかしジジイもそれは分かっています。「わしの金に対して」ちやほやしてると。「本性を見抜く目を持て」と励まします。

ジジイの愛人にでもなるのか。
少し考えた後ジジイの腕に手を回し涙ぐむメントルシ。それを見ているシルヴィオ。彼の優しさが金の力に負けた瞬間。しかしシルヴィオもメントルシに選択肢は無かった事を分かっているから胸が痛い。

少し前に借金まみれの若い女に擦り寄られ金を無心された時ジジイははっきり「そういうのはもういらん」とはねつけています。
だからメントルシをどうこうしたいと思ってる訳では無いと思います。

部屋をメイドにガサ入れ?させて金が無い事を分かっているけど(←これはどうかと思いますが)メントルシはその他大勢のようにジジイに擦り寄って頼る事はしなかったので、逆に助けてやろうという気になったとしか思えません。

ホテル主催の砂の城コンテスト?で審査員のジジイがカテリーナの粗末な砂の城を優勝にした場面も忘れがたいです。不公平の話。

ジジイの子分の少年マルコが、小ズルい所はあるものの大人みたいな分別があって驚きました。ジジイはこの子に自分の小さい頃を見ているんだろうと思いました。

途中までは男気ある優しいシルヴィオと結婚して解決する流れかと思ったらジジイが全部持って行く展開で意表を突かれました。
もしかしてジジイは神…?
面白かったです。
アノ
3.0
こういうテーマでずーーっと子供を連れて歩いてるのは珍しいな。
海岸にある船場の美術が良い。