回想シーンでご飯3杯いける

サニー 永遠の仲間たちの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.2
'80年代にはアメリカのMTVを中心とするポップスの繁栄があって、欧米はもちろん、日本に住む少年少女達にも大きな影響を与えた。

正直言って、今までの僕は、それ以上深く考えたことはなかったんだけど、この映画を見て、隣の国、韓国の少女達も僕と同じようにポップスを聴いて、同じような青春を過ごしていた事を知った。何だかこれはとても貴重な発見だ。

40代女性2人が高校依頼久々に再会する。そこからかつての同級生グループが再び集まるまでの経緯を描いたのが、この映画。探偵を介して仲間を捜索する現代のパートと、ちょうど'80年代に当たる高校時代の回想を巧みに織り交ぜた構成がとても鮮やかで、25年という時間の流れを分かりやすく、そしてある時は残酷に映し出す。

オシャレ、恋愛、音楽、そして校内暴力。喜びと怒りに満ちた青春時代の光景は、ほとんど日本と変わらない。主人公を始めとする同級生のメンバーは、再会をきっかけに、現代の生活にも輝きを取り戻していく。

'80年代と現代を行き来する構成で重要になってくるのがキャスティングだ。「この女子高生が大人になったらどんな感じになるんだろう?」という好奇心をほどよく満たしてくれる本作の現代側のキャスティングは絶妙だ。見た目だけではなく、喋り方や性格までしっかりトレースしていて、制作陣がここに重きを置いていることがひしひしと伝わってくる。

そして、本作最大の見所(聞きどころ)は、やはり音楽だろう。Cyndi Lauperを始めとする'80年代のポップスが、当時の雰囲気を見事に演出している。アメリカも日本も韓国も、'80年代には同じ音楽が流れていた。なんとも素敵な話ではないか。

しかもこの映画、韓国で740万人(国民の7人に1人が観ている !)を動員したそうだ。ここに映し出される'80年代の風景は、多くの韓国人にとって共有できるものなのだろう。

回想シーンでの垢抜けないコミカルな演出が、やや恥ずかしい気がしないでもないが、同じ時代をテーマに、これまた同じく現代と過去を交錯させた構成が見事だった日本の映画「グミ・チョコレート・パイン」にも似たように垢抜けないコミカルさがあった。これもある意味'80年代を語る上で外せないテイストなのかもしれない