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八仙飯店之人肉饅頭のn0701のネタバレレビュー・内容・結末

八仙飯店之人肉饅頭(1993年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

マカオで実際にあった殺人事件を基に、その凄惨さを緩和させるためにユーモラスな表現で警察を描きつつ稀に見る地獄絵図をリアルに表している。

腐乱死体、レイプ、臓物、裸体、悲鳴、汚物、鮮血。

むせ返る悪臭が画面を通じて漂ってくるような表現の連続に、普通の視聴者なら吐き気を催し、目を背けるだろう。

そもそもその男は香港で殺人を犯し、逃げるようにマカオにやって来たのだった。

物語の冒頭は殺人事件の経緯であったが、賭け麻雀の負けが重なり金が返せないことを指摘されたことに激昂した男が店主を殺害するところから始まる。

だがその殺人は八仙飯店の店主ではなかったのだ。地味にこの事実はどんでん返しになっている。おそらくその殺人は、香港で行われた最初の殺人だったに違いない。

彼の悪魔的な犯行は物語の中盤で描かれる。男はイカサマ麻雀で店主から店を巻き上げようとしたが、店主は無かったことにしようとする。そのことに腹を立てた男は店主とその妻、それからその子どもの計八人、さらに、様子を見に来た祖母も含めて九人もの命を奪う。

それも、恐ろしく凄惨だ。
瓶で殴り意識を朦朧とさせた後に縛りあげ、家族全員並べたかと思えば、妻の身体を鷲掴みにして頬を噛みちぎる。それから店主に見せつけるように、娘の首の頸動脈を切りつけ、妻の横腹に包丁を刺す。絶望する男の首に刃物を刺し殺すと、次々と子どもたちを包丁で殺していく。

こんなシーン、フィクションだとしてもそれを演じる子どもたちはトラウマだっただろう。

さらに、切り落とした手足は海に捨て、削ぎ落とした肉は饅頭にして店で販売した。しかも、捜査でやって来た警察にタダで食わせていたのだ。

その事実を聞いた警察官は皆汚物を撒き散らして吐いていた。彼らの部長が「饅頭の中身が何か分からないから食べない」と判断したことは正しかったのだ。

時系列的には、八仙飯店を奪い取った後、店主の代わりに店主になりすました男はレジ係とキッチン係を雇い店を切り盛りするも、賭け麻雀の不正行為を指摘したキッチン係を殺害し、挽肉にする。それから、いなくなった家族、キッチン係を捜索する警察に二三質問に答えたレジ係を強姦した上に殺害する。

結局誰もいなくなったところを四六時中警察に見張られ、国外逃亡しようとしたところを警察に逮捕される。

そして、殺害された店の家族の親類がいる刑務所に入れられると、殴り、蹴られ、便器に顔を突っ込まれ、上から尿をかけられる等のリンチを受ける。

それでも彼は犯行を認めず、自殺を図る。
リンチされ、殺人罪で24年投獄されるくらいなら死んでやるという理屈である。

それから病院でも暴れ、看護師の首を傷つけるなど異常な行動を見せる。

結局、拘束具を着せられ、暴力と拷問(注射針で水を皮膚に入れると皮膚とベッドとの接地面に激痛が走るらしい)の末、犯行を告白する。

だがその際に、隙を見て金属片を口に隠し、刑務所に戻された際に手首を切って自殺する。

呆気ない終わりに見えるが、その犯行の凶悪さ、犯行後の行動の異常さは群を抜いている。

だが血生臭く、リアリティがあり、殺害シーンの恐ろしさに胸焼けがするような嫌な気分になるが、それと引き換えにある思いを強烈に焼き付ける。

「まともなやつは殺人はしない」
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