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天気の子のn0701のネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

家出して東京に出てきた16歳の少年。
正直その動機はよくわからない。雨の日に、晴れた空の下を追いかけていったら東京に辿り着いたというもの。

物語を終えて思うことは、これは「晴れ女」の呪いを解くための機能として少年に与えられた役割だったことが分かる。少年は「晴れ女」が死なずに済む唯一の方法でその子を助けることとなる。しかし、一人の少女を助けたことの代償は、雨が止まず、海や川が氾濫し、東京自体が水没してしまうというもの。

天変地異と少女の命が引き換えになっているなんていうのは、非常に突拍子がなく、大人たちは誰も信用しない。「晴れ女」として祈祷した場合の晴れ率は100%であり、彼女が消え失せ、復活してからの3年間は長雨だったにもかかわらず、地上の誰も少女が原因だとは思っていなかった。

彼らの決断は究極に自己中であり、東京そのものが彼女一人のために呪われてしまったわけだが、彼らは自らの判断が誤っていたのものとは決して思わない。

なぜならそこに合理的な因果関係はなく、ストレートに彼らを批難する者はいないからだ。確かに謎の現象や不思議な経験はしているだろう。しかしそのことと、東京の雨がやまないことには、説明できる関連性はないのだ。
どれだけ損失が生まれ、復興不可能なほど壊滅的な被害にあっても、そこに因果関係がない以上、彼らは責められることはない。それ故に、首都機能の停止よりも、一人の命のほうが重要という結論になるのだ。

そうした結論が納得できない。
全編を通して利己的な判断が終始つきまとう。幼いというか、青臭いというか、自分さえ良ければ、ほかを顧みないという思想が強すぎる。

それは最初からだ。そもそも、家出して東京にやって来て、金もなく警察に厄介になったり、拳銃所持し、発砲するといったこと全てが「利己的な判断」に繋がっているように見える。
別に「人柱」となることが正しいというわけではなく、「晴れ女」という力を商売として使い恩恵を受けたにもかかわらず、それに伴うリスクは飲みません、知りません、受け入れませんという発想がどうかと思う。

面白いとか面白くないとかの以前に、わがままだとしか思わない。
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