ピュンピュン丸

故郷のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

故郷(1972年製作の映画)
3.9
『家族』とほとんど同じキャスティングで描かれていて、こちらのほうが後のもの。2年後の作品。

とても似ているが違う。

『家族』も『故郷』もどちらも生まれ故郷を捨てる話だが、『家族』は夫の夢につきあわされてのもので、本作『故郷』は時代の流れに逆らえず、やむを得ずというもの。

どちらもせつない。

けどなぁ、主役の男の仕事内容はそもそも大企業の下請けの下請けで、それも環境汚染につながるもので、生活のためにやっていたんだろうけど、ちょっと考えたら、まったくやりがいというか、やる意味ないんだよね。そんなの続けていても、経済情勢が変われば、大企業の気まぐれで仕事なんてなくなってしまう。それに、本人、勝手に自分の仕事のスタイルに誇りを持ってしまい、保守的で進取の精神がまるでなく、どうしようもない。

最後の決断はなるべくしてなってるんだから、見ていて、ちょっとバカバカしくなった。ただ、こういう愚直な善良な市民が幸福になれるようにするのが政治の仕事なんだろうとは思った。

せつなさ半分、バカバカしさ半分。

やるせない。