故郷の作品情報・感想・評価

「故郷」に投稿された感想・評価

瀬戸内海の小島に住む一家。
専用船で砂利運搬の仕事をして細々と生計を立てている。
苦しいながらも懸命に暮らしていた彼らにも時代の波が押し寄せ、船の故障を契機に仕事を捨て島を出ることを決断する話。

「時代には勝てん。大きなもんには勝てんというけど大きなもんって何かいのぉ?」
島に残る生活を切望しながらも苦渋の決断をする一家の主人(井川比佐志)。

寅さん、さくら、ひろし、御前様が役柄を換えて総出演。
嗚呼、コメディではない"男はつらいよ"、"家族はつらいよ"。

一家が船に乗って島を出るシーンで島民と一家を繋ぐ風に揺れるカラフルな紙テープが、まるで虹が架かるように見えてしまう。
一家の未来に幸あれと願ってしまうラストでした。
たたみ

たたみの感想・評価

3.7
昭和30〜40年頃のノスタルジーに浸れる作品。

松下さん役の渥美清さんが、いい味出してます。昔はああいう献身的な人が、いたんでしょうね。なんでこんないいところを皆んな出ていかなければいけないんだろう?松下さんの言葉がこの作品の趣旨なのかなぁ。
悲しいなあ、悲しい。ものが豊かになる代償に、私たちはどれだけのものを失ってしまったんだろう。暮らしは楽になったはずなのにどこか満たされない私たちは、なにを置いてきてしまったんだろう。
おじいちゃんとお孫さんが坂の上から故郷を見下ろす場面、夫婦最後の仕事の場面、松下さんと旦那さんとの場面、おじいちゃんから離れようとしないお孫さん、たくさんの優しさに溢れた映画。出会えて良かった。
時代の変化には逆らえない。家族それぞれの感情が風景と共に胸に迫る。
1972年の山田洋次監督作品。倍賞千恵子、渥美清、前田吟など寅さん映画の面々が出演している。
自分が生まれた歳の映画。高度経済成長を迎え、都会に労働者が集まっていき、地方が寂れていった時代。故郷で働き暮らし続けたかったが、時代の流れに抗えない夫婦とその家族の物語。親が若かった頃の時代を思い浮かべながら観た。
あれから45年経ち、故郷はさらに人が減り、今や限界集落になっている。山田洋次監督が今また故郷をテーマに映画を撮ったらどんな映画になるのだろうか。
bakuro

bakuroの感想・評価

2.5
「家族」に比べると、人が死んだりとかそういう劇的な要素がなくなって、よりドキュメンタリーっぽさが強くなっている。あの時代の日本の風景が楽しめるのは良い。石船が石を海に落とす映像が特に見応えがある。
役者や配役がほぼ一緒なので、家族の前日譚なのかと思っていたけど、設定や地域も別物。
時代に乗り切れずに廃業を迫られる一家の哀愁が凄い。旦那が初めて心情を吐露するところにはグッときた。亭主関白で怒鳴り散らすけれど、時間が経てば割りと素直になる旦那は何だか憎めない。
過去の描写が良い。セピア色の景色が不思議と一番美しく見えた。何だかこの時代に良い物も悪い物も全て捨ててきたように感じる。
scotch

scotchの感想・評価

3.7
民子三部作第二弾。
高度経済成長の波に飲まれる夫婦の話。前作「家族」のような大事件は起こりません。船から石を降ろす最後の仕事のシーン、絶対事故が起こるとドキドキしてしまいました(笑)
しかし何だろう、この懐かしさは。場所は全く違うはずなのに、確かに私が子供の頃の風景なのです。本作、時代の記録としての価値もあると思います。
そして何より倍賞千恵子。素敵すぎます。私のような倍賞フリークにはもうたまりません。井川比佐志、偉そうに怒鳴りつけるんじゃねえ!(笑)理想の女性像なのです。
あっ、そうそう、寅さんは魚屋さんです。
寿都

寿都の感想・評価

4.8
亭主関白萌え映画。日本人萌え映画。
寅さんから野蛮さを抜き取ったような渥美さんのキャラクター(つまり世界一性格のいい人)(魚屋の松下さん)が楽しめます。渥美さんはあんぱんとコーヒー牛乳が似合うぜ(つまりお弁当を作ってくれる人がいない男の魅力)。お見舞いのシーン、ここでの「なんか用?」って言い方がすごく好き。

男はつらいよのキャラクターの使い回し映画はいくらでも観たい。山田洋次監督が残したかったものとは何か、考えさせられた今作。
「家族」とメイン役者と家族の組み合わせほぼ一緒!主人公の名前も。やっぱり生まれてない時代の話だけど、祖父母の時代はこんなだったんやなぁと街並みとか生活に興味が湧く。チラッと映る広島の街並みも懐かしい。渥美清が気のいいにいちゃんで出てくるけど、イケメンじゃないのに寅さんがモテる理由がわかる気がする。
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